第4話 TRMMORPG、パクリマスオンライン始動!

■パクリマスオンライン、キャラクリエイトエリア■


 テンプルヴァイスを起動すると、再び宇宙空間から惑星を見下ろす場所でスタートした。

 いよいよキャラクリ開始だ。真っ先に選択すべき種族はヒューマン。

 種族を選択すると、立体的なそれらが登場して動作を第三者視点で確認できる。

 いくつか動かしてみたが……やっぱり他の種族はよー分からん。自分が悪魔みたいになって歩き回るって、どんな気分なのかは気になるけどな。

 開始しばらくはチュートリアルだろうし、ここで永久決定だとつらい。

 変更可能だったとしてもどうやんのか分からねーし、救済処置入れてるって話もあるらしいから種族差もそれなりにあるんだろう。 

 こんだけ現実感出てるし、まずは人でどこまでやれんのかを試したいってのが建て前半分。

 ぶっちゃけ魔法とかよく分からねーし、人っぽい動きで戦ってる方が楽しめそうだってのが残り半分だな。

 まぁMMOエムエムオーRPGアールピージーなんだから、なりきってこそだとも思うけど。

 種族を決めたら体型や髪型画面へ移行。

 ここで驚いたのは、テンプルヴァイス内で自分の体型をサーチし、それを投影してから作り変えることが出来るってこと。

 小型のMRIエムアールアイ(磁石と電磁波を用い、体内の状態を断面像として描写する検査法)かよ。

 自分の体型からいじってきゃ、ゲーム内で違和感なく操作も可能になるわけだ。

 自分の体型に合わせてスキャンし、髪型とか瞳の色をちょいと変えてみた。

 学校の校則だけは相変わらず厳しいからなぁ。髪色は黒だ。

 つっても俺が選択した髪色はピアノ塗装ブラックとかいう黒光りする髪色なわけだが。いいねこのツヤ! 妹の高いトリートメントを勝手に使ったときみてーだ。バレてしばらく口を利いてもらえなかったけど。

 目だけはやや充血目にしてやった。ゲームやり過ぎてグロッキーな黒光りするヤバイ目の奴。

 ……絶対アキトに笑われんな。装備で隠せばいいか。

 金髪とかにしないのは、いきなり目立ってPKピーケー(プレイヤーキラーの略。誰でもいいからキルしたい。そんなユーザーの総称。彼らを狩るものを逆にPKKと呼んだりする)なんかに目を付けられるのも面倒だし。来るなら来いやって気持ちもあるけどな。

 次は職業決定とかあると思ったんだけど、決定画面にそんな項目は無かった。アキトの話にも無かった。


 MMOエムエムオーつったら職業くらいはある……よな? 

 始めてみりゃ分かるか。

 キャラクリ終えたら次はデモ画面……スキップスキップ! 全部後だ、後。


『ダッシュ様。まもなく接続開始時間です。開始地点は現在地、エリア立川でよろしいですか?』

「よろしいです。自宅だと更によろしいです」

『プレイヤー開始地点は必ず離れた位置となるように設定されています』

「そっか、そんなら自宅周辺にこだわらなくてもいいか。そーいや特典でインゲームアイテムが手に入るって聞いたんだけど」

『特典はプレイ開始前に開封できるようです。開封いたしますか?』

「頼む! どうかわたくしめに大当たり、ルリ色の通信機をお与えください!」

『パクリマスオンライン特典はテンプルデヴァイスに格納済みです。開封いたします。ドゥルルルルルルー』

「って効果音はオメガさんがしゃべるんかーい!」

『ババン!』


【特殊アイテムを獲得しました】

 リリの通信機。

 効果:不明。


 ……はっ!? ルリ色の通信機!? まじで!? 


「おお、大当たりか? ってなんか違うような」

『パッセンジャークリエイティブリマスターオンライン、まもなく開始です。マスターのテンポラリアイテムに入手した特典が入っていますので、後ほど確認してください。デモに記されていたとおり行動するとスムーズに進行可能です……TRティーアールコネクト……起動プロセス、一部非了承。識別コード:テンプルヴァイス・オメガ。それではダッシュ様。良い旅を!』

「デモ見てねぇーー! うおおおお、地球に吸い込まれる!? あれ? なんかオメガさんの台詞、違和感あったような……? っ大気圏がぁーー!」


Welcomeウェルカム Toトゥ Gaiaガイア Zoneゾーン Onオン ※※※※※※※※


『だからお願い。一緒に……』


 なんだ、今の……ここ、空ぁーー!? 

 直ぐ下にビルの屋上が! 着地、できるよな? できるんだよな! 

 リアル過ぎて上空やべぇ!


「うぉーーーおおお!? ビルの屋上ぅーー! ……痛つつつつ……おい、立川の自宅付近に安全スタートじゃないのかよ……痛みあるけどかなり少ないんだな。痛覚の伝導路がなきゃそもそも皮膚感覚もないもんな」


 どうなってんだ、本当にゲーム開始したんだよな。

 いきなり空からひも無しバンジースタートしたんだけど。子供がプレイしたら小便らすぞ。

 俺は大丈夫だったけども。全然大丈夫だったけども。

 にしても暗いな。空……星が見える。夜のスタートか。

 あっちには月も見える。その脇にくそでかい薄気味悪い惑星。

 かなり遠くにぶっとい鎖も見えるわ。あんなのが宇宙から撃ち込まれたら、この世の終わりだな。

 他は暗くてよく分からねー。

 着地地点しくったのか? こういう仕様? 

 開始と同時にデスするとこだったぞ。そーいや死んだらリスボーン(ゲームプレイヤーが倒れた後に再出発すること)はどこからだろ。分からねーけど現実感ぶった切るのに一番いちばんの最強ワードを唱えたい。よし! 

 

「ステータスオープン!」


 ……あれ? 

 その言葉で現れたの、見覚えのある球体だ。


『ダッシュ様。ステータス確認はリファレンスとお呼びください。これはステータスという言葉をうっかり唱えて表示させてしまうのを防止するためです』


 ……オメガさん出てきてくれたわ。AIなのに大声で叫んだの聞かれてた。

 なんか恥ずかしー。

 右上の当たりにサポート機能ってのが点滅してるように見えるけど、オメガさんいるしそっちは無視でいいのか? 

 少し心細かったけど、オメガさんのサポートは助かる。

 リファレンスか。参照って意味だよな、確か。

「あんがとよ、オメガさん。おっしゃ、それじゃ早速……リファレンス」


 おお…視界前方になんか出て来た!? 位置調整出来るのか? 指でつかめるぞこのメニュー画面。おお、これだけで楽しい。指が触れたところに説明書きが出てる。

 どれどれ……と詳しく見ようとしたら、オメガさんが画面の前に出て視界をさえぎってきた。

 なんぞ!? 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る