第2話 世界観の隙間を見るだけでぶっ飛ぶ
オメガってのはテンプルヴァイスの持つシステムの名前だった。
俺の機体はテンプルヴァイスライセンス試験の満点
つまり……「お前って特別だったりする?」
『そうですね。特別かもしれません。ある人格プログラムを参考にして、他のテンプルヴァイスより機能向上されています。名前が気にいらなければ変更されますか?』
「そのままでいいよ。オメガって確か極限みたいな意味だよな。恰好良いじゃん」
『では、これからオメガとお呼び下さい。まず初めにマスターのお名前をお聞かせ願えますか?』
「名前登録? 所有権登録かな。なんも無いとこに入力装置出て来るってのも慣れるまで時間かかるな。工藤翔也……っと。あれ、本名だとまずい?」
『いいえ、問題ありません。次に共通ユニークネームを作製します。以後コンテンツに登録する際、先に登録候補へ上がりますのでご活用下さい』
「早速の便利機能。こっちにダッシュ……と。うっしゃ! 登録できた!」
俺の呼称はダッシュ。工藤を駆動と読み替えて、翔也も英語にすりゃダッシュだろっていうんでアキトに付けられた。
別に駆け足が速いからとかじゃない。
身体能力はいたって普通じゃないかな。
そこまで
『こちらのユニークネームを以降最優先使用いたしますか?』
「ああ。パクリマ……で通じるのか? それもダッシュで頼みたいんだけど」
『承知しました。続いて身長、体重および体感、体温、脈拍、血圧などの基準身体測定を行います……完了しました。身体の異変を検知した場合警告でお知らせいたします』
「もう身体検査終わったの? すっげ……こういう機器の安全確認って厳しい査定とかあるんだろうな」
『ほぼ全ての初期設定を完了しました。舞台を東京駅へ戻します。行先を選択することも可能ですが、行きたい場所はございますか?』
「行きたい場所。うーん、無理っぽいの言ってみよう。国会議事堂の中!」
『承知しました。生成された国会議事堂へ移動します』
「え? まじで行けんの? 冗談だ……ろ?」
■テンプルヴァイス、チヨダエリア■
言い終わる前にまじで国会議事堂っぽい場所の中に移動していた。
デスクを触ってみると、しっかりとしたデスクの感触が手に伝わって来る。
気温も少し変わった? 現実そのものじゃん!
これでゲームやんの? すっげぇー!
『血圧上昇中です。ご気分はいかがですか?』
「そりゃ血圧も上がるわ! なぁ、パクリマスオンラインのサービス開始は明日からだろ? その前に情報とか……なんならキャラメイクとかできない?」
『情報を提供することは
「まじか! やるやるキャラメイク。情報は全部後回しでいいや」
『パッセンジャークリエイティブリマスターオンライン、キャラメイク用ソフトウェアを起動します。しばらくお待ちください……起動完了』
【今、あなたは真実を手に。地球とゲンドールを……】
■パクリマスオンラインキャラクリエイト、エリアオブユニバース■
うおお!? 今のタイトル予告か?
いきなり場面が変わって宇宙空間に放り出されたぞ。
息はできてる。つか、無重力ってほどじゃないだろうけどなんか軽……。
【welcome to Passenger Creative Remaster Online!】(ようこそパッセンジャークリエイティブリマスターオンラインへ!)
俺は宇宙空間の中で途方に暮れた。
今目の前にあるのは、これからゲームを行う舞台。そうに違いないのだろうが、圧巻過ぎたんだ。
「目の前にあんの、でっけえ惑星だよな? 地球から離れ……なんだあれ。巨大な鎖? ……は? なん、これ!? もうわけわかんねー! うおーーーーー!」
キャラメイク画面に移行するだけでケツの穴がぎゅっとなったわ。
これが本気の
あの星、文字で説明書きがある。
ゲンドールっていうのか。
なんで地球と鎖で繋がってんだ。
もっと情報見とけばよかった。
いや、ダメだダメだ。ゲームをより面白くするために情報は最小限。
んで……宇宙に放り出された俺は、なんか体透けてんだけど。魂になってんのか?
あれ、宇宙空間になんか浮かんで……。
「そーいう設定かよ。まじ、引き込まれるわ」
【転生した魂よ。汝が種族を選ぶがよい】
分類:人種族
・ヒューマン
・ラールフット
・エルフィニン
・ドワーフィール
・ホムンクルシア
・メカロヴィット
分類:獣人族
・キャットウォー
・ドッグウォー
・カインドリザード
・レリーフラビット
・ウェアウルフ
・ボルトライオン
分類:魔族
・ソロモンズウォー
・血詠魔古里
・スケルトンオブハデス
・幻妖魔
・サイクロプス
……まだまだある! おいおいおい!
「種族選択肢やべぇ! こんなにあんのかよ!? これってもしかして開始位置にも関係あるのか?」
『ダッシュ様。サポートいたしましょうか?』
「うわ、びっくりした……お前ゲームでもサポートしてくれるのか」
『起動中は全てのコンテンツでサポート可能です』
「ふーん。種族説明も聞けるのかな。いいや、明日にすっか。俺だけ進めまくってたらアキトになに言われるか分からねーし。こっから再開できねーかな」
『それではダッシュ様。次回起動時は直接キャラメイク画面へ移れるようにしておきますね。TRプレイの後は現実との
「ああ。現実との
『はい。連続プレイ時間に制限を設けてあります。リミッターは増減可能ですが、身体測定によりリミットタイムを定めさせていただいております』
「安心設計も日本の売りだもんな……げっ。もうこんな時間!? 時間表記とか端末登録とか細かい設定もやらないとなー」
『承知しました。端末をセットして頂ければ全て使いやすいようにカスタマイズしておきますね』
「端末は……ここか。こっちも親切な世界共通端子ね……アキトとヒナタから連続メール。七十二件ってなんだよ。怖いから止めろよな。もういいや全部明日だ。んじゃ後はよろしく頼むぜオメガ」
『おやすみなさい。ダッシュ様』
名残惜しみながらテンプルヴァイスから出た俺は、種族を考えながら休みを取るのだった。
「寝れるわけねえだろ、こんなの!」
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