第2話 転生 10歳はイベントが多いらしい

「行ってこい、カイル」


「はい、父上」


 俺はカイル・アイルバに生まれ変わり今年で10歳になった。

 前世の記憶を持った状態での赤ちゃん時代はいろいろとキツかったがそれも終わりだ。


(ステータスを確認するのに10年もかかるなんて思っても居なかったぞあのアホ女神め……)


「カイル様、こちらに手を置いてください」


「あぁ、分かった」


 鑑定の宝珠と呼ばれる宝珠に手を置くとステータスを鑑定する事ができる。

 10歳になるとこの世界ではほぼ全員が鑑定の宝珠により一斉に鑑定を受ける習わしがあるそうで俺は後ろに領民が居る中での公開鑑定をさせられている。


 カイル・アイルバ

 Lv1

 得意魔法属性

 水・風・闇・光

 祝福

『女難の相』

『女神ヘレナのお詫び』


(は? なにこの祝福)


「なっ! 素晴らしいですぞ! 数少ない使い手しか居ない光魔法をお持ちでいらっしゃる!」


「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」」


 俺が貰ったはずの祝福が無いことを疑問に思っていると背後から耳が壊れたかと思う歓声が響いた。

 どうやらこの世界における光魔法は当たりらしい。

 振り向いて手を振りながら貴族の役目を果たしてそそくさと民衆の前から撤退する。


「カイル! 良いものを貰ったなぁ」


「父さんやめてくれよ」


「良いじゃないか! 今夜はパーティだな」


 この父親、民衆の前では威厳ある辺境伯を演じている癖に母と俺の前だとデレデレなのである。

 正直、父親のデレなど全く求めていないのだがここまで大切にされると文句も言いづらい。


「おかえりなさいませ」


「セスありがとう」


「カイル様、おめでとうございます」


「俺は光魔法がなんでそこまで喜ばれるのか分からないんだが、セスは知ってるか?」


「光魔法とは神の力を借りる事が出来る魔法だと言われておりますので、民衆から見れば跡継ぎのカイル様が光魔法を持つというのはとても喜ばしい事なのですよ」


 光魔法が神聖視されているという事か、なら闇魔法はどうなんだ?

 嫌な予感はするが少し聞いてみるか。


「セス、闇魔法はどういう扱いをされていんだ?」


「カイル様はお気になさらなくともよいかと」


「いい、聞かせてくれ」


「闇魔法は邪悪で良くないものというのが世間一般の認識になりますね」


「やはりか、まあそんな事だろうと思ったよ」


 闇魔法とかちょーカッコイイのに表では使えなさそうじゃないか。

 でも、それを含めて闇魔法カッコイイな……


「カイル様、夕食の準備が整いました」


「すぐに行くよ」


 うちには家族のルールがいくつか存在している。

 そのうちの1つが可能な限り食事は共にするというもので母が大切にしているルールだ。

 おかげで食卓には仕事に忙しい父も必ず居るので家族でのコミュニケーションはしっかり取れている。


「カイル、10歳の誕生日おめでとう」


「ありがとう母さん」


「ふふ、周りは光魔法光魔法とうるさいけれど好きな属性を使えばいいわ、あなたにはせっかく沢山の才能があるのだから」


「そうだぞ、闇魔法だって味方に入れば心強いのだぞ?」


「分かってるよ、与えられた才は全て使い切って見せるから」


 そして新たに分かったのが祝福は本来他人に見えるのに俺の祝福は周りの人達は見えていないのだ。

『女難の相』と『女神ヘレナのお詫び』俺は1つしか引いていないというのに祝福は2つもあるし、『女難の相』に至っては呪いとか運命の類いだろう。


「そうだ、明後日には王都に旅立つことになるが準備は出来てるのか?」


「出来てるよ!」


「やっぱり1度帰ってくる気はないの?」


「往復で時間もかかるし、学園に行く前に王都に

 慣れておくのもありかなって」


「そう、気をつけるのよ」


 10歳になると多くの同年代が参加する貴族パーティが王都で開かれるのだ。

 今年は第3王女様が出席するようで同年代の俺たちはほぼ強制参加だ。

 そして俺は帰らずに王都にある別邸でそのまま12歳まで暮らすつもりだ。

 12歳になれば王国貴族は学園に入学して多くのことを学ぶことになる、行って帰ってまた行くのは面倒だからという理由で押し切って向こうに滞在する許可をもぎ取った。


「それじゃあ、おやすみなさい」


「あぁ、おやすみ」


「おやすみなさい」



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書き溜めとも相談しつつですが基本は毎朝7時投稿をしようと思っています。

今日だけ特別に夜七時にもあげるので是非

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