院内感染 1
俺が
「恐怖小説好きのお前が病院勤務か。これはいよいよお化けに取り憑かれたんじゃないか?」って。
そんなことを言われたら、そりゃムキにもなりますよね。
市職員は市役所だけじゃなく、その他の公共施設にも人事交流職員として配属されることがあって。それが図書館であり、公民館であり、市立病院なわけで、俺もたまたまそうだっただけなのに。
あの頃巷では人面犬とか呪いのビデオなんかが流行っていましたけど、病院という単語だけで呪われてるなんて口にしてしまうその浅はかな考えを、当時の俺は看過できなかったんです。
……だけど、今は心からアイツに謝りたいと思ってます。お前の言ってたことは全部正しかったって。
俺、この目ではっきりと見たんです。あれだけのことを体感したら、とても正気でなんていられないですよ。
でも、俺はどうするべきだったんでしょうか。
助けたくて伸ばした手は、はなから到底届きようもない距離にあって。
あの怒号飛び交う灼熱の世界で、俺は一体何が出来たんでしょうか。それを今でも毎日のように考えているんですけど、同じ場所をぐるぐる回り続けているみたいに答えは一向にでなくて。
だから、話を聞いてもらえると嬉しいです。
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