第二話

正体見たり、灰の雪 1

 しんしんと雪が降っている。

 灰のようにぼってりと重たい雪だ。

 天を仰ぐと、雪が落ちているのか私が吸い込まれているのか途端にわからなくなった。

「ごほ、ごほ」

 びょおおおおおおお。

 風が甲高い声で鳴いている。

 地面の雪が空へと巻き上がり、舐めるように私の体に纏わりつく。

 まるで断末魔の悲鳴のようだ。

 灰雪はきっと、私たちから何かを奪っている。

「ごぼお」

 私の口から溢れ出した何かが、白い地面を瞬く間に溶かしていった。

 私もいつかは灰になるんだろうか。

 それが今なのか、明日なのか、もっとずっと先なのかはわからない。

「……きれい」

 雪を溶かす熱が辺りを白く染め上げて、私はたちまち異界に囚われる。

 ひょおりぃぃぃぃ。

 風の旋律の隙間から微かに私を呼ぶ声が聞こえた気がした。

「ここだよ」

 私の言葉も風に乗って灰色の空に消えていく。

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