第24話 不適合魔道具師の救済処置

「ゼスト、この山は不良品魔道具だが私が改造する! 良く見て置け!」

「はい、ヒロ様!」

 ゼストは僕の魔力の流し方を見落とすまいと真剣な表情をしてる。

(僕が改造出来た、と言う事実を見届けたら良い)


 僕が出来損ないの魔道具コンロに魔力を込めると、ゼストが作った魔道具コンロと同じ一回り小さい魔道具コンロに変わった。


「ヒロ様? 凄い火力で作動が軽い魔道具コンロに変わってますが、何をされたか理解出来ません」

「ゼストは、先程高性能魔道具コンロ作成したで有ろう! あの作成を思い出し、魔力を込めれば出来損ない魔道具コンロが、再構築され高性能魔道具コンロに変わる! やってみろ!」



 出来損ない魔道具コンロに、ゼストが魔力を込めた。

「出来た! ヒロ様! 極意指導有り難う御座います!!」

 いやいや、手順を一度で覚えたゼストが優秀なだけだぞ! 感謝されるのは気分が良いので、黙って受け取って置く。


 ミヒロがクズ魔道具の山で何かしてると思って居たが、見ればあのクズ素材で3体もの機械人形を完成させて居た。


「ミヒロあんな素材で機械人形造るって凄いな!」

「ヒロ様が私設兵士を欲して居られると、ワインが言ってたので作りました、ロゼほど器用では無い戦闘特化型ですが筆談は可能です」

「私設兵士だ、戦闘特化は有り難い! 命名する……」


「名前は『アルファ』『ベータ』『ガンマ』です!ワインが決めて居ました」

(ワインは僕が命名すると、酷い事に成ると予測したな!)


「アルファ、ベータ、ガンマ『第2ヒロ魔道具販売店』と『第2魔道具工房』の警備を始めろ!」

 3体の機械人形は胸に腕を当てる敬礼をし、警備を始めた。


「ミヒロさんも凄い魔道具師ですね!」

 声に振り向くと、ゼストにサブとレツが目を丸くして見てた。

 ミヒロが、目に止まらない速度の手作業で、機械人形作成した所も見ていた様だが、魔力作成より早く組み立てたミヒロが何をしたか理解出来て居ない様だ。



「ヒロ騎士爵様! 解雇した魔道具師達が店の方に来て居ます、対応お願い出来ますか?」

 名前を聞いて無いが、女店員が僕に話し掛けた。


「分かった、直ぐ行く」


 人の運命なんて、僅な事で変わってしまう、ヒロが非常に気分の良いこのタイミングで訪れた9人の不適合魔道具師達に取っては幸運だった。



「先ず約束の退職金、金貨1枚ずつ受け取れ!

このまま諸君を見捨てると、貴族の不興ふきょうをかった者として、魔道具境界で仕事出来なく成るで有ろう!

救済処置として、今後半年私が指導する! 真面目に勉強すれば卒業後再雇用を考えてやる。

若造に教えて貰いたくねぇ! って者は金貨1枚持って立ち去れ!」


 少し間を置いて見回した、9人全員僕の指導を受ける事にした様だ。

「住む家の有る者は解散、明日ヒロ魔道具工房本店に来るように! 

住む家の無い者は、合宿施設に向かえ」


 驚いた! 9人全員住む家が無く、工房の奥で雑魚寝、飯は近所の食堂で食ってたとか、生活環境整えてやらんと仕事に成らんな!

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