第17話 騎士爵叙勲、えっ?

 当日早朝エンディ男爵邸に、フランソワの馬車で向かってる。


 タクトさんも付いて来て欲しかったが、今日から来客が増えると、ワインが言うので店番すると残ってくれた。

 ワインの未来予想は信用出来る。

 ワインは、こうも言った。

「ヒロ様の新作、50倍拡張魔道具カバンを献上すれば、エンディ男爵様の後ろ楯が完璧なものになる」


 ミヒロの真似をしただけの拡張魔道具カバン程度を献上しただけで、エンディ町の統治者の後ろ楯を得られるなら、これ以上の事はない。


 招待状も何も無いのに、フランソワのお陰か? 門も玄関も素通り出来た。

 邸内も勝手知ったるで、フランソワは衣装部屋に僕を案内してくれた。


 ロゼとワインの見立てで、礼服の着付けはミヒロがやってくれた。

 姿見で確認、思わず笑った。

「これが僕? 古人が言った『馬番にも衣装』(馬草や馬糞にまみれてる馬番でも、正装させれば高貴に見える)って、僕は見違えるように何処の御曹子って感じに成ってる」


「はい、師匠立派です」


 まだ叙勲式典に2時間あるとかで、控えの間で軽食を取っていた。


 突然エンディ男爵様が入って来て「今日は面白い事が起きるぞ! 楽しみにして居れ、献上品は叙勲の後で儂が言葉を掛けるので、話を合わせるようにな!」


 献上品の納め方の確認が出来て良かったが、面白い事の内容を聞きたかったが、慌ただしくエンディ男爵様は出て行かれた。



 時間が来た様で、案内の執事が「叙勲式会場にお連れ致します」と言って、僕をうながした。


 会場には、何故か魔道具師専門学校校長と、魔道具工房の工場主連中がかしこまって立っていた。


 執事に先導された僕達は、一段高い席に座るエンディ男爵様の前に案内された。

 フランソワに教えられた通り、僕は片膝をつき右腕を胸に頭を下げて叙勲を待った。


 フランソワと、ロゼにワインとミヒロは後ろに立っている。


 降りて来たエンディ男爵様は、宝剣を抜き剣の横で僕の肩を叩き。

「余エンディ男爵は、魔道具師ヒロに騎士爵を叙す!」

「魔道具師ヒロの全てを、エンディ男爵様に捧げます」


 これで僕は騎士爵に叙せられた。

「余に、献上品が有ると報告を受けたが?」

「後ろに控えし、オートマタワインと最新作50倍拡張魔道具カバンを献上致します」


 拡張魔道具カバンを持ったワインが、エンディ男爵様の前で見事なカーテシーの礼を取った。


 驚いた様なエンディ男爵(知ってて演技だよな?)

「ヒロ・ダスト騎士爵、立って説明せよ」

 ヒロ・ダスト? 苗字を与えてくれたのか?


 僕は立ち上がり、オートマタのミヒロとワインを、作った経緯いきさつを説明し、新作の50倍拡張魔道具カバンの使用方も説明した。


「魔道具師専門学校校長! お前はこれ程才能豊かな魔道具師を、見抜けぬ節穴の目をしておる! エンディ男爵の名に置いて解任を言い渡す!! 速やかに立ち去れ! 後任校長は余が指名する」


 校長はあたふた退場していった。


「魔道具工房の工場主達、時代遅れのお前達の工房の行く末は暗いぞ! ヒロ魔道具師工房の魔道具以外は誰も購入せん様になる! 今の様な低級な魔道具をお前達が作り続けて居ては、倒産しても自業自得だ! 余は数年前からヒロの魔道具に注目して居った! 節穴の目をした工場主不愉快だ立ち去れ!!」

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