第12話 ミヒロ誕生

 僕は悪い癖が出て、楽しみで一睡も出来なかった。

 昔から魔道具に関連する興味が湧く物や、新技術を試す前子供みたいに楽しみで眠れ無くなってた。


 寝不足で頭がスッキリしない、霞がかかってる気がする。


 ロゼの御者で、フランソワの馬車に乗せて貰い、機械人形の墓場に向かってる、僕はボンヤリしていて気付くと森の前の広場に着いていた。

「初めて来た、こんな所に森なんて有ったんだ」

 何処をどう通って来たか、全く覚えて居ないので知らなくて当然だ。


「ここからはロゼの案内で歩きます」

 僕は寝不足で霞の掛かった頭、まるで夢遊病者のようにただ前にふわふわ進んでる。


 無意識に歩いて居るので、何時間歩いてるか分からない、気付くとぽっかり開けた所に機械人形が積み上がった、墓場かな?・・・不謹慎だがゴミ捨て場って思った。


 ゴミ捨て場と思った事で、裏の素材の山で魔道具作りしている様な気楽さを感じ、タクトさんの絵を見詰め、適当な機械人形5体に魔力を流した。


「うぉ?尋常で無い魔力が吸い込まれる!!」

 この時やっと目が覚めた気分になり、完成したオートマタを見た。

「あれ?魔力作成の魔道具が?初めてだな大きくなるって?」


 大きくなったのは当然で、小柄な機械人形とは言え5体を素材にしたオートマタは、成人女性と同じ背丈になって居た。

「ヒロ様、誕生させて頂いて感謝します!私はミヒロお役に立ちます!」

「ミヒロ?ヒロミ母さんに似た名前だな」

「ヒロ様が私を誕生させる時、お母様の事をお考えでした、似たのはその為と思われます」


 機械人形5体の人工知能をミックスし、一人の人格を形成その時制作者の思いが込められる?

「成る程、願いが叶うって事か?魔道具作りは非常に面白い」


「師匠!素晴らしい!!ヒロ師匠は想像以上に凄い魔道具師です!!次はこの子をお願いします!」

 渡されたイラストは、綺麗な女性の絵が精密に描かれている。

「この女性はどんな感じの人?」

「優しくて、ロゼと仲良く出来るワインです」


「優しくてロゼと仲良しだな、分かった遣ってみる」

 ミヒロが生まれた時の様に、適当な5体に魔力を流した。

 又々魔力を絞りとられて、イラストと同じ女性が生まれた。


「ヒロ様、私を誕生させてくださって、有り難う御座います!ワインもヒロ様のお役に立ちたいと思います」


 


 見事にオートマタを完成させたヒロを見て、微笑みながらタクトは思った。

(ヒロは、魔道具作成が楽しみに成ると眠れ無くなる癖が有った、生真面目なヒロが正常な状態で非常識なオートマタを作成すると、必ず失敗した事だろう、眠れ無くなるよう話をし半分眠った状態で無意識作成、狙った通り見事に遣ってくれた!ヒロは一度成功した魔道具は、以後簡単に作り上げる。ヒロは寝不足で辛いだろうが、ヒロミ先輩が出来なくて断念したオートマタ、ヒロは初のオートマタ作成技術者になってくれた!!母と子2代の天才に関われる私は幸せ者だ!!)


「タクトさん?何か言った?」

「いや、ヒロはある意味ヒロミ先輩を越えたな!と思ってた」

「母さんを越えた?」

「実はオートマタ作成にヒロミ先輩、一度チャレンジして失敗した後、人と同じ感情に外観のオートマタ作成は不可能と結論してた」

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