第10話 機械人形の墓場

 フランソワと言うか、ロゼが同居する事になって、僕の食生活は一新した。


「これが、あの材料で出来たの?凄いご馳走だな!!」


 どうやって焼いたのって、不思議に思うフンワリパンがバスケットに盛られ、トロリ濃厚なスープから始まり、煮物の前菜、凄いステーキが続き、焼き菓子とお茶のデザートって、お貴族様の晩餐の様だった。

 機械人形のロゼは異常に優秀だ。


「無意識に組み立て出来るまで、あの手順で照明魔道具製作繰り返しする事!」


「はい!頑張ります!!」

 僕は未熟者、弟子なんて育てるのは早過ぎる気がする、ま、共に成長すれば良いか?誰かに教えるのは自分流の再確認になり、僕にも役に立つ事だ。




 翌日早朝から、フランソワは照明魔道具の量産をはじめた。

 フランソワには才能の有る事が伺える、3作目で作成1時間、昼食後1時間を切り、夕食前には30分で完成させる様になった。



 5日ほど経ち、明日は裏の素材山で魔力作成させる事に決めた。

 弟子との暮らしにも慣れた夕食時、フランソワが意外な話を始めた。


「師匠は機械人形の墓場ってご存じですか?」

「ん?機械人形の墓場?聞いた事が無いな」

「私もロゼから聞いて・・・ロゼは筆談します。墓場は森の奥に人知れず存在して居ます」


 機械人形は三原則に縛られ、忘れてしまいたい事やどうしようも無い悲しさに包まれた時に、大量のオイルを持ち墓場に向かう、そこでオイルの異常摂取して機能停止するとか。


 ◈◈◈


【機械人形三原則】

 第一条

 機械人形は人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。

 第二条

 機械人形は人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。

 第三条

 機械人形は、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。


『第三条の自己を守らなければならない』で自殺は出来ないが、活動するのに不可欠なオイル摂取なら大丈夫って事か?


 ◈◈◈


 墓場では機能停止した機械人形が、何時までも変わらず積み上がって居るそうだ。

「フランソワ、見てきた様なリアルな話だな」

「ロゼに案内して貰い、見て来ました」


「私はあれを見て、可哀想な機械人形達を何とかしてやりたくて、でも私では力不足、師匠なら!!」


「僕は機械人形の作成レシピは知ってるが、実際作成した事がない、今の僕では無理だ」

 素材が高価だからな。


「いえ、再起動させるので無く、墓場の機械人形達を素材にして、新しい何かに生まれ替わりさせてやりたいのです、ロゼもそう言ってます」


 墓場の機械人形達を素材にする?

「そんな事をロゼは望んで居るのか?」

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