第7話 初の顧客

 僕は簡単に追加の指輪時計10個を作った、完成製品が照明魔道具も指輪時計も小さいので、ゴミの違った!素材の山は全く減った感じがしない、素材の山は工房の裏手に位置する。


 工房から店舗に入ると、何をどう遣ったのか店内は様変わりしてた。

 店の入り口の両側は、全面ガラスの商ウインドーに変わり、向かって右側に棒状照明魔道具が展示され、左側に指輪時計魔道具が展示されていた。


 店の入り口から外に出て、商ウインドーを眺めてみた。

「思った以上に見映えが良い!」


「あのぅ、店の方ですか?」

 無防備状態で、後ろから声掛けされ、飛び上がるほど驚いた。

「御免なさい、不躾にお声掛けして」


「いえ、お気になさらないで、僕がヒロ魔道具師工房のオーナー兼魔道具師のヒロです」

「まぁ!貴方が、あの素敵な魔道具を作られたのですか?」

「はい」

「お幾らですか?『開店記念割引期間』と垂れ幕が有りますが」


「へ?」

 工房の看板の横に垂れ幕が有った。


「どうぞ、中へ、お入り下さい、手に取って、ご覧に、ご覧下さい」

 なんか、しどろもどろになってしまった。

 若いご婦人は気にしなかった様で、店に入ってくれた。


「いらっしゃいませ!」

 タクトさん、なれた対応、とても強面魔道具師教官とは思えないぞ。

「指輪の時計魔道具を、見せて頂けるかしら?」


 タクトさんが、展示品の指輪時計魔道具をご婦人に渡してる。

「この指輪時計魔道具のオーダーメイドは出来ますかしら?」

「はい!特注品オーダーメイドも受けたまわります。開店記念の無料奉仕に致します」

「この指輪時計魔道具の金貨30枚も、開店記念の安価なのに、この金額で特注品が手に入るって、素敵!!」


 き、金貨30枚!!それで開店記念割引価格?ボッタクリじゃねぇか!!

 僕の魔道具師専門学校の全ての費用が、授業料が年金貨10枚の20枚で、2年間の寮費と食費が金貨5枚の、金貨25枚だぞ!!

 指輪時計魔道具を、一個売れば元が取れて3~4年の食費まで浮く!!


(こんなに魔道具師って美味しい仕事だったの)


 ご婦人はタクトさんと絵を描きながら、デザイン商談を始めました。



「ヒロ魔道具師、この形の指輪時計に決まった!直ぐ準備して組み立ててくれ」

 渡された絵は、腕輪くらい大きく描かれていて、分かり易い。


「これ程詳細な説明画があれば、待って貰ってる間に作って来る」

「えっ?そんなに早く出来るものですか?町の○○工房では柱時計魔道具、30日かかりましたよ?」

「その工房は魔道具師の、見習いが製作して居たのでは?このヒロは若いですが、凄腕の正式魔道具師ですよ、飾ってある証書の通り」



 ご婦人とタクトさんはまだ何か話ているが、僕は工房に行き裏口から素材山に向かい、魔力を込めた。


「あれ?少し小さかった?」

 出来上がった指輪時計魔道具は、絵の通りになっては居るが、量産した指輪時計魔道具より少し小さい物が出来上がった。


「ダメなら、見本と言えば良いか?」


 出来上がった物を、タクトさんに確認して貰った。

 タクトさんは、ジックリ眺めご婦人に渡した。


「まぁ!!私の指にピッタリですわ!」

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