第4話 生活の糧と気楽に作ったが

「ヒロ君、ここに魔力を流してみてくれ」

 崩れ掛けた玄関横の魔方陣?🔯に魔力を込めた。


 廃屋全体が輝き、輝きがおさまると工房と言うより、邸宅が現れた。

「凄い・・・」

「君のお母さんは凄いだろ!私の自慢の先輩だった」

「うん、母さんは凄い魔道具師だよ」


「ここは、魔道具店の入り口だ、住居の入り口は横にドアがある」


 ゴミの山の反対側に住居入り口の扉があった。

「住む前にあのゴミの山を処分しないと」

「何を言ってる!ヒロミ先輩が君の為に集めた魔道具素材だぞ!処分なんて勿体無いぞ!」

「魔道具の素材?」


「生活費の為にも、魔道具作って見るか?」

 タクトさんは地面に絵を描き、説明を始めた。

「この大きさ、手に持てる魔力注入型照明魔道具をこの素材の山から魔力を込めて作ってみろ!」


「魔道具の魔力作成は・・・」

「ここは専門学校では無い!結果を気にせず、気楽に遣ってみろ!」

「そうだね、やってみる」

 魔力注入型照明魔道具は、入学後の中間試験で作成した、レシピも記憶してる。


 僕はタクトさんが描いた絵を見ながら、ゴミの山に魔力を流した。

 ゴミの山の手前に照明魔道具が、ちょこんと置かれていた。

「僕はヤッパダメダメだ!細い棒になってしまった」


 タクトさんは、棒状の照明魔道具を手に取り魔力を込めたようだ、瞬間棒の前が光り、光りは前方を照らした。


「ヒロ君素晴らしい!画期的な照明魔道具が出来たじゃないか!」

「そんな細い棒の様な照明魔道具、使い物になる?」

「腰に差して携帯し、暗く成れば手に取り魔力を込めれば、前方を明るく照らす!画期的な携帯照明魔道具だぞ!!同じ物を何本か作ってみろ、これなら売れるぞ!!」


 興奮したタクトさんが言うので、10本作成してみた。

 出来上がった見本が有るので、同じ物の量産は簡単だった。

 見た目は美しく無い、変哲のない棒なので僕としては不満な作品

 だ。


「ヒロミ先輩もだったが、ヒロも美的感覚が変だぞ!」


 タクトさんの指摘で気付いた「僕は美的感覚が他の人と違う?」

 そうか!僕が格好良いと思って作った作品を、皆が奇っ怪と言った理由は、そう言う訳だったのか!指摘されて初めて気付いた、美的感覚のズレか!


「タクトさんの指摘で気付いたけど、美意識のズレは治らないよ」

「分かってる!ヒロミ先輩と同じで、私がフォローする」

「え?母さんのパートナーってタクトさんだったの?」


「そうだぞ!ヒロミ先輩が私生児の君を生んだ時・・・あれ?ヒロは私生児・・・私以外はヒロミ先輩に男との関係は・・・あれれ?もしかしなくても、ヒロは私と先輩の子?」


 タクトさんは独り言を言いながら、考え込んでしまった。

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