第3話 母さんの遺産
卒業したら、
でも、何処にも採用されなかった僕は、寮を出ても行くあてが無いぞ?
「ヒロ君、片付けは済んだようだな、では付いて来てくれ」
「は?はい!タクト教官」
タクト教官は入学当初から何かとお世話になった、今日の審査官もタクト教官が勤めて下さった・・・あれ?母さんが亡くなってボンヤリ過ごしてた時、会ってた気がする。
タクト教官は、専門学校専用馬車に乗り込み僕にも乗車を
「タクト教官殿!何処にお供すれば良いので有りますか?」
「ヒロ君、君は立派に魔道具師なった!今では私と立場は同じ、卒業した今は君の教官では無い」
「えっ?教官殿との縁が切れたって事ですか?」
「ヒロ君とこれからは、年は離れて居るが友人で居たい」
「・・・今更ですが、思い出しました!タクト教官は母が亡くなった時、会いに来て下さって母の後輩って言われてた気がします」
「君は混乱してボンヤリ日々を過ごしていた、ほぼ毎日訪問したが思い出したか?」
「食べる事も忘れ、ボンヤリ過ごしてた、食べ物の差し入れ今更ですが、有り難う御座いました!今生きて居るのはタクト教官のお陰です!」
「タクトで良い、私はヒロ君の友人のつもりだ、迷惑か?」
「いえ、ありがとうございますタクト、さん」
「これから行く所は、ヒロミ先輩、君のお母さんに頼まれて管理して居た所だ」
「母さんが?タクトさんに?」
「ヒロミ先輩は亡くなる事を感じていて、ヒロ君に遺産を残した、これから行く所は『ヒロ魔道具師工房』だ!」
「えぇ?」
「ここだ」
馬車が止まって、タクトさんが指差した所は、崩れ掛けた廃墟だった、付近は元魔道具だった物か?廃棄されゴミの山になってる。
汚れて読み
「この・・・廃墟が母さんの遺産?」
「ヒロミ先輩は凄い人だった、そうだヒロ君宛の手紙を預かってる・・・これだ!」
手紙には『愛しい我が子ヒロ魔道具師へ』と書かれていた。
「母さんの手紙?」
「君が魔道具師になったら渡して欲しいと、ヒロミ先輩から預かっていた」
封筒から手紙を取り出し、僕は読み始めた。
【愛しいヒロ、魔道具師おめでとう!立派になったヒロ君が見れ無いのが残念です。
ヒロ君が母さんみたいな魔道具師になると、言ってくれたあの日、嬉しいような母さんみたいな特種な魔道具師にはなって貰いたく無いとの思いと複雑な気持ちでした。
母さんの遺産、驚いた?浮浪者や野良猫などが住み着かないよう、平時は廃屋にして、常時発動式防御魔道具を設置してます。
母さんの様な魔道具師にヒロ君がなって居たなら、魔力を入れると復活する魔道具屋敷だよ!
後輩のタクトを頼りにして、魔道具師として大成する事を祈っています。
ヒロ君は魔道具師として最大の欠点、発想と完成したイメージが母さんと同じで欠落して居ます。
欠点を補う為には、発想に優れた表現力豊かなパートナーを見付ける事です。
当分は後輩タクトが補助をしてくれると思います。
最後に何時までもヒロの事愛して居ます、たまにはお母さんの事思い出してね!】
長い手紙は全て僕の事を思って書かれてる、涙で文字が見えなくなった。
「母さん!ありがとう!!僕は母さんの期待通り凄い魔道具師に成ります!見てて下さい!」
子供の様に、ごう泣きしてしまった。
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