第2話 決意

今朝あったことが忘れられずにいた。あれは、現実だったのか?疲れ過ぎて夢をみたのではないか?しかし、あの感覚は本物だった。


「炎どうしたの?何かあった?」


春奈の声で僕は振り返る。


「急にどうしたの?大丈夫だよ」

「なんか今日の炎はいつもと違うような気がして...バイトで何かあったのかなって...」

「大丈夫。それに、今日はバイトがないからね。」

「そっか...じゃあ、今日こそ一緒に帰ろ!」

「そうだね」


そうして、僕は春奈と一緒に帰った。途中で今朝の話をしようと思ったが余計な心配をさせたくないし、信じてもらえないと思ったから黙っておくことにした。僕の家は山を少し登った場所にある。だから、僕は途中で春奈と別れて家に帰った。


「ただいま」

「お帰りなさい」


結の声が聞こえてくる。そして、お祖父ちゃん、お祖母ちゃん、妹と一緒にご飯を食べる。普段はなかなか家族の時間をとることができない。だからこそ、僕はこの時間が大好きだ。


「お兄ちゃん最近バイト忙しそうだけど大丈夫?」

「大丈夫だよ」


結は僕の心配をしてくれる。あんまり心配をかけたくないから大丈夫だと答える。結は誰にでも優しい自慢の妹、お祖父ちゃんは僕たちのために無理をして仕事をしてくれる、お祖母ちゃんも辛いときに僕をささえてくれる。僕はそんな家族の役に立ちたい。そう思ったら辛いことも乗り越えれる。


「おやすみなさい」


そう言って僕はベットに入り眠りにつく。


~深夜~


ガタン!!という音で僕は目を覚ました。


「(なんだろう)」


そう思い、僕は階段を下りて玄関をみた。そこには、血を流して倒れているお祖父ちゃんがいた。


「お祖父ちゃん!!!」


そう言って駆け寄るが反応がない。なんで?どうして?僕は混乱した。その瞬間パリン!という皿が割れたような音が聞こえてくる。僕は急いでリビングに行った。そこには、血を流して倒れているお祖母ちゃんがいた。包丁を持っている。そして、割れた皿がそこら中に落ちていた。


「お祖母ちゃん!!なんで!!」


僕は激しく混乱した。そのとき、後ろからグルルル!という獣のような鳴き声が聞こえてきた。僕は恐る恐る後ろを振り向く。そこにはまるで雷を帯びたような狼がいた。化け物だ。僕はとっさに部屋を出た。化け物は追いかけてきた。僕は逃げるがすぐに廊下の端に追い詰められた。


「(どうしてこんなことに)」


そう思ったら涙が出てきた。


「どうしたの?」


そう階段から結が下りてきた。


「結、逃げろ!!」

「えっ?」


その瞬間、化け物は結に標的を変えた。


「きゃっ!」


化け物の爪が結を切り裂いた。結が血を流して倒れる。


「あっ...ああ..........」


僕の大好きな家族が一瞬にいなくなってしまった...


「..............................................」


僕はひどく絶望した。


「(もうどうでもいいや...どうせ僕も死ぬんだ...なんでこんなことに...)」


化け物がこちらに近づいてくる。逃げ場はもうない。死を覚悟した...。化け物の爪が僕を切り裂こうとした瞬間。窓が割れる音同時に、何者かの拳が化け物を攻撃した。昨日僕を助けてくれたおじいさんだろう。鎧と仮面そして角が一致している。


「少し遅かったか...」


おじいさんはそう言って刀を化け物に向ける。すると化け物はその場を離れ逃げ出した。おじいさんは僕に聞いた。


「怪我はないか?」


僕は助かった...僕だけがたすかった...。絶望しているぼくにおじいさんは


「まだ、息があるぞ。すぐに、救急車を。」


結はまだ息がある!!僕はすぐに救急車を呼んで必死に手当てを行った。警察の対応はおじいさんがやってくれた。そして、結は救急車で運ばれていった。おじいさんが僕に近づいてくる。僕はおじいさんに聞いた。


「さっきの化け物は何だったんですか?」

「さっきの怪魔獣はおそらく雷獣、雷をまとった狼のような妖怪だ。」

「なんでまた僕が襲われたんですか?」

「君がお祓いを受けなかったから...いや、私が真っ先にお祓いをかけなかったからだ...申し訳ない。」


そうか...おじいさんがあのとき言おうとしてたのはこのことだったのか...それを僕は聞かなかった...僕のせいだ...僕のせいで家族が............そのとき、病院から電話がかかってきた。僕はすぐに病院に向かった。


「妹さんは何とか一命を取り留めました。しかし...意識が戻りません...もしかしたら手術をしなければいけない可能性もあります...」


医者の言うことを聞いて結が生きてることに安堵したが、結の手術費や入院費を払える自信がなかった。僕はおじいさんと二人病院の屋上にいた。


「化け物に復讐がしたいです。」

「復讐?」

「はい、僕も鬼になればできますか?復讐...」

「可能性はある。」

「それなら!」

「ただし、死ぬかもしれないぞ...」

「それでも、なりたいです。結のためにも。」

「確かに、鬼になれば妹の手術費も払える。」


少し希望が見えた気がした。


「ただし、もう後戻りはできないぞ。」


それでも...それでもやってやる!!結の手術費も、化け物への復讐も!!僕はおじいさんはっきりと言った。


「それでも僕は鬼になります!!」






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妖鬼戦士 @smikazuki

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