第3話 驚愕のケースの正体

ケースの内側が淡く光り始めた瞬間、僕は息を呑んだ。ただの手帳型ケースだと思っていたそれが、まるで何かの装置のように反応している。何が起こっているのか全く理解できない。


「まさか、これが…『便利な機能』ってことなのか?」


僕はおそるおそるケースをさらに開き、光の源を確認しようとした。すると、スマホの画面に突然、新しいウィンドウが表示された。それは、見慣れないアプリのようなもので、メニューには「未来の通知を見る」「現在の周囲をスキャン」「過去のメッセージを追跡」と書かれていた。


「な、なんだこれ?」


このケースがスマホに特別な機能をもたらしたのか? まさか、そんな馬鹿げたことがあるわけがない。だが、目の前にあるこの状況は、どうやら現実のようだ。僕は恐る恐る「未来の通知を見る」をタップしてみた。


すると、画面に見慣れない通知が表示された。


「3分後、玄関のチャイムが鳴ります。」


「は?」


そんな馬鹿なと思っていると、ちょうどそのタイミングで、玄関のチャイムが鳴った。


「えっ? まじかよ!」


慌てて玄関に駆け寄り、ドアの覗き穴を覗くと、宅配業者が立っていた。まさに、通知通りだ。半信半疑のままドアを開けると、業者が「荷物をお届けに来ました」と言って、小さな包みを手渡してきた。


「これって…まさか本当に、未来の通知が…?」


頭の中は混乱していたが、とにかく受け取った荷物を持って部屋に戻った。そして、再びスマホの画面に目をやると、次の通知が表示されていた。


「5分後、コンビニの前で財布を拾います。」


「いや、待てよ…」


このケース、冗談じゃなく、本当に未来を教えてくれるのか? 昨夜のハンカチ事件も、このケースの仕業だったのか? 僕はしばらくスマホを見つめ、メッセージの送り主、田中Kに再度メッセージを送った。


「これ、本当に未来が分かるケースなのか?」


すると、即座に返事が来た。


「そう。君が拾ってくれたハンカチ、実は僕のだったんだ。お礼として、君にちょっとした未来を教える力を与えたんだよ。このケースを使えば、少しだけ未来の出来事が見える。もちろん、良いことも悪いこともね。」


「悪いことも?」


その言葉に不安を覚えながら、次の未来予測が本当かどうか試したい気持ちも湧いてきた。


「次の通知、コンビニの前で財布を拾うってやつ…本当に起こるのか?」


半信半疑のまま僕はコンビニに向かうことにした。そして、5分後、コンビニの前に着いたとき、まさにその通りだった。道端に小さな財布が落ちている。驚きつつも、僕はその財布を手に取った。まさか、本当にこんなことが起こるなんて…


だが、その瞬間、スマホが再び震え、新たな通知が表示された。


「1時間後、大きなトラブルが起きます。」


「トラブル…?」


僕は再び田中Kにメッセージを送った。


「このトラブルって、何のことだ?」


しかし、今度は返信がなかった。不安が募る。果たしてこのケースは、本当に便利なだけなのか、それとも――?


次回、「ケースがもたらす運命の選択」が明らかに!

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