第15話

 一度、千花に聞かれたことがある。どうして雪音は人と関わることが怖いの?と。

 雪音はその質問には答えられなかった。

 言ってしまえば、千花に失望されてしまうような気がしていたからだ。


 しかし、いつかは言わなければならない。

 雪音は、そのことを心に決めていた。

 しかし、その機会はなかなか訪れなかった。

「ね、そんないいかた、千花にひどいよ」

 クラスメイトの声がした。どうせ、罵られるんだと思った。しかし、返ってきたのは、意外な言葉だった。


「今まで勘違いして酷いこと言ってごめん。千花が、教えてくれたんだ。

前から思ってたんだけど、あの子の

こと苦手なんだよね、なんて思っている子もいるかもしれないけれど、雪音は違うんだ、雪音は、本当は優しい子なんだって」


「千花のこと、探しに行ってくれたこともあ

ったんでしょ」


「千花といる時の雪音は、本当に楽しそう

で、見ているだけで幸せになれるくらい、素

敵な笑顔になるの。あたしは、それを見ていたから知っている」


「千花が言ってた。雪音は本当は、人を傷付けるような子じゃない。

ただ、ちょっと不器用なだけなのって。

それに気付いてあげられなかったのが、あた

しの罪だと思う。

許してとは言わないけど、謝らせて欲しいの」


「それから、雪音のこと誤解しないであげてね。あの子のこと、よろしくねって」


雪音は驚いた。まさか、千花がそこまで自分

 のことを想ってくれているとは思ってもみなかった。

 同時に嬉しくもあった。

 千花とみんなの優しさに触れて、雪音の心は癒されていった。

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