第14話

 それ以来、雪音は千花を避けるようになっ

 た。

 休み時間や放課後は、すぐに教室を出た。

 千花は何度も追いかけてきたが、決して振り向かなかった。


「雪音、待ってよ。お願いだから話をきいて」

「ごめんなさい。今は無理」

「雪音……」


 千花の声を聞くたびに泣きそうになる。

 雪音の心の中にあったのは後悔だけだった。

 もっと早く言えばよかったのだ。自分がどんな人間なのかを。

 でも、怖かったのだ。


 拒絶されるのが怖くて、ずっと黙ってた。

 その結果がこれだ。結局、千花にも迷惑をかけてしまった。

 どうすればよかったのだろう。

 千花にこのことを話したら、きっと軽蔑されてしまうだろう。

 こんな自分を助けてくれる人はいない。

 誰もいない。

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