第12話

 その日を境に、千花は、より、雪音のそばに来るようになった。

 まるで、雪音の気持ちを確かめるかのように。


「雪音、映画に行きましょう」

「雪音、喫茶店に入りましょう」

「雪音、買い物につきあって」

「雪音、動物園に行かない?」

「雪音、遊園地に遊びに行こうよ」

「雪音……」

「雪音」

「雪音」

「雪音」

「雪音」

「雪音」


 そして、ついに雪音にこう言った。

「ねえ、あなたってどうして、みんなに教えてあげないの? あなたの本当の姿をさ」

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