第9話

 それから千花は、すきあらば


「雪音、映画館行きましょ」


「雪音、プラネタリウム見よう」


「雪音、遊園地行こう」


 と誘いかけてくるようになった。

 そして、それに呆れながらもいちいち付き合ううちに、二人の距離はますます縮まった。

 雪音が風邪をひけば、千花はちょっとした連絡を伝えてくれたり、互いの誕生日にはプレゼント交換もした。


 それに、千花の作るお菓子は、いつも美味しかった。

 一緒にお菓子を作る日だってあった。

 彼女は、雪音のことをよく理解してくれていた。


 千花のことが大好きだった。

 千花の方は、雪音のことをどう思っているのだろう?


 雪音にはわからなかった。


 だが、千花の口からは一度だけ聞いたあの言葉を思い返すたび、雪音は、嬉しかった。

 二人は、ただの友達だ。

 しかし、雪音が千花に惹かれるのは必然だったのかもしれない。

 二人は急速に仲良くなっていった。

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