第4話

 それからというもの、雪音は毎日のように千花に絡まれた。

 放課後になると校門の前で待っていることもある。千花は、氷のように固く閉ざされた雪音の心を溶かそうと必死なのだ。


 最初は無視していたが、あまりにもしつこいので、つい口を出してしまう。


「なんですか、一体」

「ねえ、これから、カラオケ行かない?」

「行きません」

「じゃあ、お茶だけでも飲まない?」

「結構です」


「ねえ、雪音って氷姫さまって呼ばれてるん

 でしょう」

「誰が呼び始めたのか知りませんが、私には

 全く関係のないことです」

「ふーん、クールなんだね。ところであたしのこと嫌いなの?」

「はい、大嫌いです」

 きっぱりと言ってやった。

 しかし、千花は平気な顔で言う。

「あたしはあなたのこと大好き!」

 この人は何を考えているのだろうかと驚く。

 私のような冷たい人間など相手にしない方

がいいというのに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る