第4話
星祭りは、もうすぐこの村で行われる祭事
だ。一年に一度の祭で巫女たちは、この国の一年を占い、星降る中で最後に選ばれた巫女が舞うのである。そして、人々を癒すための薬を、他の集落に配るのだ。
「ところで最近、医局のほうはどうですか」
「そうね、巫術は大丈夫だけど、薬のほうは作れそうに
ないの」
そう言う桐花の表情は、曇っている。
「だれも上手く薬草を調合できないですのよ。
かくいう私も、専門でもないしね」
巫女たちがあまり薬草の世話をしなくなって
から、薬草を調合して作る薬の質は下がっていた。
そのために、医局では巫術でしか人々の治療ができなくなりかけているという話を、鈴も聞いたことがあった。そんな有様で、果たして星祭りはどうなってしまうのだろう。
「大巫女様はご高齢で、もう薬の調合ができな
いのよね」
桐花はしばし考え込むと、鈴に言った。
「ねえ、鈴。鈴なら作れるんじゃない?」
「作れませんよ」
「薬草畑の手入れをしたり、調合の準備を手伝ってたでしょ、それにずっと前に大巫女様直々に教わっていたじゃない」
鈴は桐花によって医局に引きずられてしまった。
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