第2話

 深い谷の底に、巫女たちの住む集落がある。ここで、巫女たちは日々、占い、薬草を育て、人を癒す術や、霊力を使う巫術を学んでいるのだ。


 あの日から15年をこの集落で暮らす鈴も同

 様である。しかし、鈴は霊力を使いこなすことができずに、雑用や幼巫女の世話を押しつけられていた。


「鈴、どうせ巫術もろくに使えないんだし、畑

 から薬草採ってきて刻んでおいて」

「あと、水くみもよろしく」

 はい、と答えた鈴だったが、すぐにぐらりとよろめいて転び、運んでいた水をこぼしてしまった。

 こぼした水を拭いている鈴に

「鈍臭いねえ。占いも巫術もできない上に身体

 も弱いんだし、一生巫女見習いでもやってればぁ」

 意地悪く巫女の1人が続ける。


「あんたみたいな子がいると皆が迷惑するんだ

 よ。もういいよ、さっさとどっか行っちゃい

 な!」

 他の巫女たちも口々に悪態をつく。

「そうだねぇ、ここにいるだけで目障りだし

 ね」

「じゃあ、早くどこか行って仕舞えば」


 その時、凛とした声が響いた。

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