第8話 目覚めた朝は

「どういうこと?」


美琴は自分の置かれている状況に驚きすぎて、頭が回らない。


見たことのない天井にシーツ。


しかも隣には誰かいる。


そっと動かないように目だけを隣に向けると、そこにあるのは筋肉のついた広い背中。


しかも上半身、裸。


なんで裸!?

この人の下半身を見る勇気は・・・ない!!!



とりあえず自分の姿を確認しよう。


寝ているこの人が起きないようにゆっくりと布団を持ち上げると、私はぶかぶかなTシャツを着ていた。

この人のTシャツに間違いないだろう。


ゆっくりとお尻を触ってパンツを履いていることを確認し、安堵する。


「ほっ」

って!

ほっじゃない!!

ここどこ!?

そして、この人誰!?


昨夜のことを必死で思い出す。


駅でコウさんとばったり会って・・・そのまま近くの居酒屋で飲んで・・・飲んで・・・今。この状態。




記憶がない!!

この状態は・・・お持ち帰り?



それでもって、この隣で寝てるのは・・・顔が見えないが、たぶんコウさん?




しちゃって・・・る?



いや、でも服着てるし・・・。

コウさんだし・・・コウさんならしないとも限らないし・・・。


とりあえず・・・トイレに行きたい。


そっとベッドから降り・・・・れない。

壁とコウさんらしき人物の間で眠っているので、ベッドから降りるためにはコウさんらしき人物を乗り越えていかなければならない。


でも一度トイレに行きたいと思うと、もう行かないわけにはいかない。



そっと布団から出て、なるべく気付かれないようにハイハイをするように足元の方から降りようと試みる。



「ん・・・起きた?」


コウさんの声に驚き体が固まる。

布団についた手の下で、コウさんがもぞもぞと動き、止まったのを感じた。


「あ!」


自分が四つん這いになり、おしりをコウさんに向ける形で止まっていてパンツを見られていることに気が付き、慌ててペタッと座り込んだ。


「ちょ・・・ちょっと御手洗、借ります!!」



あたふたと這い、「いてっ」と言うコウさんを乗り越え、ベッドから降りて寝室のドアを開け、それらしきドアを開ける・・・とそこは脱衣所だった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る