2-4
「天の
「まだ未完成だから大丈夫だけど、あれが伸びきって天に届いたときがやばい。そうなったら、大量の天使が地上に降りてくる。
「なるほど」
「その、天の
「前まではあんなに高くなかった。せいぜい数十メートルくらいだったはずです。
「つまり、何が言いたいの?」
理亜が聞いてきた。彼女がハンバーグを食べるのを
「天の梯子のところに、七彩がいると思う」
「……そうかなあ」
芙蓉の言葉に、理亜は疑問を返した。
「確かに、天の梯子の建造に天使が関わっててもおかしくはないけどさ。それが七彩ちゃんだって決まったわけではないじゃん?」
「さっき戦った金色のやつは本物の天使でした。あいつは天の梯子の方に飛んでいったし、あの場所――『
サラダを食べながら、芙蓉が言った。
『聖域地区』とは、天の梯子が建っているひときわ大きな忘却地区のことである。二年前はゴルフ場だったらしいその場所は、今は森に囲まれた天使の
「まあ、聖域地区で何かが起きてるのは間違いないだろうね。元々さ、明日には
「明日、聖域地区に行くってこと?」
「そうそう。聖域地区には
「行きます」
芙蓉が
再生産された
芙蓉の
「じゃあ、明日学校終わりに集合ね。今
そう言った理亜が食事を
「今更だけど、なんで理亜さんには天の
――天の梯子は、一般人には
「
どや顔をした理亜が、芙蓉に聞き返す。
「逆に聞くけどさ、なんで普通の人にはあの
「それは……」
説明しようとして、言葉に
「
答えあぐねている芙蓉を見て、理亜が説明を始めた。
「芙蓉くんはさ、たまたま交差点ですれ
「思わない」
「だよねー。本当はその人にもその人なりの人生があるけど、そこに
つけあわせの野菜を食べてから、理亜が続ける。
「同じことだよ。天の梯子という
そこで顔を上げた理亜は、「まあでも」と言った。
「二、三千年前の古代人なら、あれを
「じゃあ、理亜さんは古代人だと」
「ちがうに決まってるだろー! 十八さい! 普通に二〇〇二年生まれだよっ」
言いながら、理亜がジト目で芙蓉をにらんだ。
「だったらなんで見えてるんですか?」
「脳をそういう状態にチューニングしてるの」
「化学物質による
「え……じゃあ今、理亜さんは幻覚を見てるんですか?」
「ちがうよ!? あくまでたとえ話だから! 私はヤバいクスリでラリってるわけじゃないから!」
そんな
「最初はあんなにやる気なかったのに、ちょっと元気になったじゃん。これって私のおかげだよね? そうだよね?」
たしかに、昨日までと比べれば多少マシな気分になっているのは事実だ。しかし、このニヤニヤ笑いの止まらない
「ありがとうございます」
「うんうん、もっと感謝していいんだぜ?」
「本当に助かります。色々教えてもらったあげく、夜ご飯までおごってもらえるなんて」
「え」
「さっきデザートも頼んでおきました」
芙蓉が言うと、理亜は天を
「……いいけど! いいけどさ、なんで素直にありがとうって言えないのかなあ!?」
「ただで
「
などと、その後もそんな会話をしつつ、二人は夕食を
本当は今から
ちなみに、夕食代は
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