EP2: human side.
2-1
「よーし! それじゃあ、
そう言った
トレーラーは、また別の『
「今向かってる忘却地区に、なんかヒントがありそうなんだよね」
理亜が言った。
「ヒントですか」
「そう。実はね、ドローンを使った
忘却地区とは、一般人から忘れられているから『忘却』地区なのである。そこに人がいるのはおかしいし、人がいるなら
さらに言えば、人ではなく天使なら、忘却地区を自由に出入りできる。つまり、一瞬映った『
「もしかしたら七彩ちゃんがいなくなった理由のヒントになるかもだし、行ってみる価値はあると思わない?」
「ですね」
「そのためにはまず
そうしてテンションを上げている理亜を見て、芙蓉はふと
「『戦う』って……もしかして理亜さんが戦うんですか?」
「うん。そうだよ」
「絶対にムリです。やめましょう」
理亜の返事を聞いた
「なんでそんなこと言うんだよー! まだなんも説明してないじゃんか!」
そう言ったおさげの先輩が、ずい、と身を乗り出してくる。芙蓉は彼女から少しだけ身を引きつつ、コンテナの奥へと目を向ける。
「もしかして、『あれ』を使うんですか?」
芙蓉の言う『あれ』とは、コンテナの奥にあるモスグリーンの
それは、
――
英名はArmored Bipedal Vehicleで、通称『
視線を戻すと、理亜が不満そうに口を
「なんか文句あんのかよー」
「もう一回聞きますけど、理亜さんは『あれ』に乗って
「そうだよ」
「正気ですか?」
「めちゃくちゃ正気だよ! なにせ、このXM17は世界最強の二脚兵装だからね」
「世界最強?」
芙蓉が聞くと、理亜は大きな胸を張って、得意げに説明しはじめた。
「そう!
ミリタリーに
『二脚兵装』という兵器のことなら、芙蓉も少しは知っている。この前見た
「絶対ムリですよ。
「またムリって言ったー」
理亜がジト目で
「そもそも、理亜さんがあれを
「大丈夫! こう見えて先輩はとっても
そう言って、理亜はにへらと笑った。このおさげ
「……どのあたりが『優秀』? さっきはわちゃわちゃ
「そ、それは……そう、なんだけどぉ……」
顔を赤くしておさげをくるくるといじっていた理亜が、「で、でも!」と顔を上げた。
「私、
言いながら、理亜は胸を張って
「元カノに逃げられて
ぎょっとした理亜が
「あんまり『元カノ』とか『フラれた』とか言わないでほしい」
「ごめんごめん、泣かないで! 芙蓉くんってあんま表情変わんないから、その顔で泣かれると怖いのよ」
「傷ついたので今日の夕飯はおごってください」
「い、いいけど……泣いてる割に
そうこうしているうちに、トレーラーが
がたん、と座席が
外の
「さて、行きますかー」
言いながら、理亜が立ち上がった。
コンテナのリアウイングが完全に開いて、
「芙蓉くん、これつけといて」
立ち上がった理亜が、芙蓉に無線イヤホンを渡してきた。
「私のと
そう言って、彼女は自分の耳にインカムをかけた。引き止める間もなく、理亜は小走りで〈アーヴィン〉の方へと向かい、その背中をよじのぼった。彼女が
それが〈アーヴィン〉の
その暗くて
『危ないから
イヤホンから理亜の声がする。
M807
そして、左手が
機体の背中には、さらに二つの武器が
〈XM17アーヴィン〉。
『芙蓉くんはまだ疑ってるみたいだし、今から証明してあげる』
理亜の声が耳に届く。
『みせてあげるよ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
〈近況ノートにて機体やキャラの設定イラストを公開中です〉
・XM17アーヴィン
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます