第9話 疑問




 大学に入ってから早々風邪をひき、あかねさんに看病してもらうというハプニングもあったが、なんやかんやで楽しく大学生生活を送れている。そんな私だが、気になることがある。


「どうして、、兄のことを、、」


 そう。私が風邪をひき、看病してもらっていた時にあかねさん言っていた「兄の件」についてだ。


 おそらくあかねさんは私のトラウマ(兄に触られていたこと)を知っている。なぜ?なぜ知っているのか?これが気になって仕方ないのだ。


だから早速先週末のお詫びも兼ねて、遊ぶことになったのだが、、?



「はい、あーん♡」


「え、あ、あかねさ、、むぐっ、?!」


 ご覧の通り、さっきからあーんされたりとあかねさんからのアプローチでそういう雰囲気にならないのである。。。


 ちなみにまだ返事はしてない、私もあかねさんの事が大好きだけれど、また傷つけてしまうのが怖い、、まぁいつものヘタレな自分だ、、本当嫌になる、、


 ううん、暗い自分は無視しないと、あかねさんにこんな気持ちが移っては、それこそ悔やみ切れないことになる。


 私から遊びに誘ったんだから、相手にリードされたばかりではダメだ、!もっと自分のペースに持ってって話に繋げよう。


「おいしい?」


「おいしい、、です、、」


 ダメだ、こんな笑顔を見せられては、自分の平常心を保つのですら精一杯すぎる。。。


 そんなこんなでカフェを出て、私の手を繋ぐあかねさん、一瞬振り解きそうになった手を下唇を噛んで我慢する。


「小羽。」


 そう名前を呼ばれてハッとする。あかねさんの方が私より20cmくらい背が高いから、いつもは落ち着く身長差も、今は圧があるように感じて身をすくませた。


「小羽、私の家いこっか」


 そう優しそうな声色で一言だけ言って、私の手を引き、歩き始めたあかねさん。


 やっぱり、私ばかりリードされてたから怒ったのだろうか、、?


「ちょっと待っててね。」


そういい、中に入って行ったあかねさん。


 そこは、大学から少し遠めのマンションにだった。綺麗なマンションだったから、あかねさんって結構お金持ちだったの、?とか考え、呆気に取られている私の手を、戻ってきたあかねさんが再度ひき、中に入ったのだった。


 あかねさんの部屋は3階の一番右端だった。


 端の部屋いいな、なんて思いつつ、いざ中に入ると結構広めで、やっぱりお金持ちなのかな、、?なんて考えているところ後ろからハグされた。


「え、、?!あかねさん?!」


私がそう言うとすぐ離してくれた。


「ど、どうしたんですか、、?急に、、」


 ヘラヘラしながら聞くとあかねさんは一人でブツブツと何か喋っていた。


「いや、、まさかね、、真崎もクソッタレとはいえ、そんな事するはずないし、、」


「?。今なんて言ったんですか、?」


 そう聞きながら、顔を覗き込むのと同時に一瞬閃いたような顔をして「あそこに座ってて」といいソファを指差した。


 訳の分からないまま、言われた通り座っている私に「少し待ってて」とだけ言って、出て行ってしまった。


「え、?どういうこと、、?」


 疑問に思いながらも、三十分ほどあかねさんが帰ってくるまで大人しく待っていたのだが、一向に戻ってくる気配がないので、電話しようとしたところで丁度あかねさんが帰ってきた。


「お待たせ小羽。」



 そう言い、連れてきたのは、二度と近づかないと決めた兄だった。

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