第5話 あなたの気持ち

「小羽ちゃん調子はどう、?」


 そう言いながら手にお皿を持っているあかねさん。リンゴを切ってきてくれたらしい。


 まだ友達になったばかりなのに、こんな事してもらうだなんて、、遊びに行きたかったな、、


 そんな自分が情けなくて、気づけば涙を溜めていた。


「あ、え、、、」


 風邪になりたくなかった。私は風邪をひくと、ただでさえ気弱でヘタレな性格に磨きがかかってしまうのだ。


「ご、ごめんなさい、、風邪ひくと、辛くなっちゃって、」


 なんてか細くて弱々しい声なんだろう、自分でも惨めに思えてくる。


「小羽ちゃん。」


 私の名前を呼びながらハグしようとしてくるあかねさん。


 そんな優しいあかねさんに私は思わず「やめてっ!!」と声をあげながら、熱を引いていながらも結構な力であかねさんの肩を押してしまっていた。


あ、、うそ、、どうしよう、、、


 私は兄がきっかけで男嫌いになるだけでなく、触ってこようとしてくる人がいると極度な拒絶反応が出てしまうようになっていた。


 玄関では、立っている事もままならない〝ギリギリ″の状態だったから拒絶反応は出なかった、出すことが出来なかった。



 急いであかねさんの方を見ると、複雑そうな顔をしていた、そりゃそうだ、ただ慰めようとしてくれていただけなのに、寄り添おうとしてくれてただけなのに、拒絶してしまった。


こんな顔するのも無理はない。


「ご、ごめんなさい、、、嫌いとか触って欲しくないとかじゃなくて、もう関わらないっていわれでも仕方ないでずよね、、、」


 若干鼻水を垂らしつつも、誠心誠意謝った。

 この時は、どう見られるかよりも、このままあかねさんが離れて行ってしまうほうが後悔しそうで嫌だった。


 一呼吸して真剣な、でも優しそうな顔でこっちを見てきたあかねさんは、こう言った。


「小羽ちゃん、私はね、こんな事で離れていく人間じゃないんだけど、?」


 え、、な、なんで、、?あんな、、拒絶の仕方をしたのに、、?



「もう少し時間をかけたかったけど、この際言っちゃおうかな。小羽ちゃんほっとけないし」


「な、なんの、、こと、?」


 頭にハテナを浮かべている私を、真剣な顔をして見てきたあかねさん。



「小羽ちゃん、私、花羽あかねはあなたのことが好きです、愛しています。」



え、、???へ、、、??今、、なんて、、??





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