第5話:告白。
季節は12月の後半。
ある日、同じ部活の「
ご飯でも食べに行こうよって誘われた。
特に断る理由もなかったし、桜ちゃんとは普通に友達以下または友達の関係だったし、だから飯会をオッケ〜した。
外は寒いからカフェで待ち合わせ。
待ち合わせ場所は、サンセットアベニューにある、こじんまりした洒落たカフェ
「星と六ペンス」
僕が先にカフェで待ってると、桜ちゃんがやってきた。
桜ちゃんがテーブルを挟んで僕の前に座ると、すぐにウエイトレスが注文を
取りにやってきた。
僕たちは食べたいモノを適当に注文した。
カフェだからレストランほどメニューが豊富なわけじゃない。
僕はナポリタンを頼んで、桜ちゃんはカルボナーラを頼んだ。
「桜ちゃん・・・僕になにか言いたいことでもあった?」
「普段、桜ちゃんがご飯に誘ってくれるなんてことないから・・・」
「うん・・・あのね、福志君・・・この間、部室に連れてきた彼女、瑠衣ちゃん?」
「本当の彼女じゃないんでしょ?」
「え?なんで?・・・」
「みんな気付いてるよ・・・礼二君も登ちゃんも・・・」
「礼二君、あれから調べたんだって、レンタル彼女代行サービス・ユートピア
ってところに「瑠衣」って子が在籍してるの見つけたって」
「彼女とそっくりだったって言ってた」
「そうか・・・バレてたのか・・・あ〜あ自己嫌悪だよな」
「だけど、もういいんだ・・・レンタルはやめたから・・」
「そう・・・まあ、本当の彼女じゃないからね、いつまでも付き合うことは
できないからね」
「そうなんだ・・・じゃ福太郎君、今はひとりなんだね」
「そか・・・」
「あのね・・・丁度よかったって言い方したらすごく感じ悪いかもしれないけど」
「私ね、福志君のことが好きなの・・」
「は?」
「だから、そう言うこと・・・」
「そう言うことって・・・・え?今更?」
「もう一年以上、サークルで一緒にいるのに?・・・今になって好きって?」
「うん・・・まあ前からなんとなくは福志君のこといいなとは思ってたん
だけどね・・・言い出せなくて・・・」
「で、この間、福志君が彼女だって瑠衣ちゃんを連れてきたの見て恥ずかしい
けど私、ヤキモチ妬いちゃった」
「で、気持ち告白しなきゃと思って・・・」
「ね、今は彼女いないんだよね・・・よかったら私と付き合って、私を福志君
の彼女にして」
「・・・って言っても・・・」
「すぐには答えられないよ・・・恥ずかしいけど僕さ、実はまだ瑠衣ちゃんの
ことが忘れられないんだ・・・」
「自分の気持ちが瑠衣ちゃんに向いてるのに・・・うんとは言えない」
「今は、心の整理さえつかないのに・・・」
「ほんとにごめん・・・君の想いには答えられない」
「頑張って僕に告白してくれたのに、桜ちゃんを傷つけるようなこと言ってごめん」
「君のことは嫌いじゃないよ・・・できたら今のままでいちゃいけないかな?」
「今の僕は誰に告白されても、オッケ〜はできないんだ」
「そう・・・私の一方通行か・・・私の前の信号はまだ赤なんだね」
「ほんとにごめん・・・中途半端な気持ちで君にオッケ〜したら、僕は今より
もっと最低な男になっちゃうから・・・」
「分かった・・・ごめんね」
桜ちゃんは僕に文句も言わずに納得したのかどうかは分からないけど笑顔で
カフェを去って行った。
なんで、こんな時に、女の子から告られるんだよ。
瑠衣ちゃんを知る前だったら、もしかしたら桜ちゃんの想いを受け止めていた
かもしれない。
タイミングが悪すぎるよ・・・神様は罪だよね。
僕にイヴとリリスふたりを与えたんだから・・・。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます