第4話:僕は優越感に浸る。
寝ても冷めても彼女のことばかり。
もう二度と瑠衣ちゃんに会えないかもって思いながら彼女に連絡を取ったら
普通に予約が取れて来てくれた。
そして二時間の間、擬似的僕の彼女でいてくれた。
あんなに彼女が欲しいって思ってたのに・・・本気で瑠衣ちゃんを好きになりなんて
それだけはあっちゃいけないんだ。
レンタルだぞ・・・なんで好きになった?
でも好きになったものがしょうがない
だけど、こんな気持ちを抱えたままでいたら、頭がおかしくなりそうだよ、いっそ
レンタル辞めるか・・・
やめてそれで瑠衣ちゃんに会えなくて我慢できるのか?
もし瑠衣ちゃんに連絡取ってスケジュールが合わなかったら、もう
会うのはやめようか・・・みじめになるだけだからそうしようか、そう思った。
でもひとりになるとやっぱり彼女に合わずにいられなくなる。
結局、僕は瑠衣ちゃんから離れられないんだ。
そうやって心に
そんなある日のこと。
「あのさ、瑠衣ちゃん・・・今日はお願いがあるんだけど・・・」
「お願い?・・・あのお泊まりとかエッチいことはできまんよ」
「いや、そう言うことじゃなくて・・・」
「今日、写真部の部室に顔を出さなきゃいけない日なんだけど」
「僕と一緒に来て、みんなの前で僕の彼女だって言って欲しいんだけど」
「レンタル彼女は封印してもらって本当の彼女だってみんなの前でアピールして
くれないかな?」
「それってみなさんにウソつくことでしょ?」
「よくないよ・・・そう言うことは・・・」
「分かってるけど僕をバカにしてる連中の鼻を明かしてやりたいんだ」
「バレちゃったらどうするんですか?」
「大丈夫だよ、君は僕の彼女だって言ってくれたらそれでいいから」
「しょうがないですね、いいですけど・・・知りませんよ」
「ありがとう・・・変なことお願いして・・・」
で、瑠衣ちゃんが俺の無理な頼みを聞いてくれるって言うのでブティックに
彼女を連れて行って彼女の好きな衣装をプレゼントした。
レンタル彼女を持つと、それなりに出費がかさむ。
瑠衣ちゃんにプレゼントした可愛いフリルのワンピースを着てもらって大学の
写真サークルの部室に連れて行った。
部室には男子二人に女子が三人がすでに顔を出していた。
一人は僕と一番仲のいい「
二人目は「
女子の一人は「
もうひとりは「
あとひとりは「
「あ、みんないたんだ・・・」
「おう、福志・・・今日は来るの遅いんじゃないか?」
最初に声をかけたのは礼二だった。
「うん・・・ちょっとデート」
「デート?・・・デートだって?・・・おまえがデート?誰と?」
登がありえないってふうに言った。
「瑠衣ちゃん・・・こっち」
瑠衣ちゃんは僕の後ろからそっと部室に顔を覗かせ言った。
「こんにちわぁ」
全員、瑠衣ちゃんを見て唖然とした。
登が言ったようにありえない出来事だったからだ。
しかもこんな可愛い子が、僕の彼女?
「
「この子僕の彼女」
「福志の?・・・あ、どうも・・・よろしく〜」
みんな声をそろえて挨拶した。
その中で礼二だけは、いぶかしく思ったみたいだ。
礼二は瑠衣ちゃんを一目見るなり、どこかで見覚えがあると思ったみたいだ。
だけど確証があったわけじゃないからその時はなにも言わなかったんだって。
僕は優越感に浸っていた。
僕だって彼女が、恋人がいるんだってことをみんなアピールできたことで。
だけどみんな実は瑠衣ちゃんが僕の彼女ってことを疑っていたみたいね。
後日、僕は意外なことを礼二から聞かされた。
「福志・・・この間の
「瑠衣ちゃんが、どうした?」
「大学ってたくさん学生がいるから、知り合うことなく社会に出て行くことも
あるだろ?」
「だからおまえが彼女を連れてきた時、よく知り会えたなって思ってさ」
「なにが言いたんだよ?」
「俺、見てるんだ・・お前が俺たちに瑠衣さんを紹介するずっと前に
彼女をこの大学で見てるんだ、思い出したよ」
「おまえ彼女とどうやって知り合った?」
「え?瑠衣ちゃん、この大学に通ってるのか?」
「おまえ、知らなかったのか?」
「あ、ああ、いや知ってたよ・・・あの・・・彼女とは居酒屋で友達に紹介してもらって知り合ったんだ・・・」
(危ない、危ない・・・酔っ払ってポチったなんて言えないからな)
「そうなのか・・・まあでも世の中に出ても、すれ違って行く男女だって
いるからな・・・おまえらは巡り合わせがよかったのかもな」
「なにわともあれ、おまえに彼女ができてよかったよ、レンタル彼女とか
じゃなくてさ・・・」
僕は苦笑いするだけでなにも言えなかった。
礼二のやつ、今のは気づいてて言ったのか?・・・バレてるな・・・。
つづく。
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