第2話
ジッと見つめられてた。
しかも支度しているのを。
多分着替えてなかったら着替えている姿を見られていた可能性すらある。
それぐらいジッと見られた。
見るの辞めてほしかったけど、なんかもう凄くジッと見つめられてたし、早く解放されたくて言うの辞めたよね、うん。
準備整えた方が絶対良いし。
準備を整え、探偵が用意した車に乗り込む。
車は……
多分オートマだよな。
まぁオレもオートマMDC派だけど。
SDCは便利だが登録されてない所に行けないし、遠隔殺人も可能だからな。オレみたいな恨まれの権化からすればSDCで死亡する率が高すぎる。まぁ、恨んでいる相手は大抵もうこの世にはいないけれど、念には念を入れよってね。
純粋に逃げ切るのに使いやすいってのもあるけど。走行ルートの自由度高いからね。
まぁ、自分で事故ってドボンの可能性、全然あるんすけどね。
「咬泣神社。成立戦国時代。室町幕府の衰退と共に全国大名が国盗り合戦し合った羅刹の時代。咬泣神社を建てた
「廃村になって一時代挟み、再び蘇るもコケて、でもなんか生き残った感じ、と」
「はい」
「なんつーか、一昔前の、時代劇とかにありそうな景色だな」
山奥にある木造建築の建物が立ち並ぶ村。
近くには湖があって、その近くには石の鳥居。
その鳥居を抜けた先には神社。
それなりの大きさの非常に長閑な場所。
因みに観光客はまぁ年に数百人程度。お祭りの時が一年の中で最も多い。
今は丁度お祭りの時期……ではなく、その終わった後の時期。
「過去にトリップしたみたいだな」
「バブル期から結構時間経ちましたからね」
「嗚呼、その頃から変わってないんだよな」
「変化なしの伝統ある場所です」
「何があろうと変わろうとしなかった頑固な場所だがな」
「とりあえず、宿を取りましたので其方に」
「今日承諾したんだが?」
「話を聞いたな? 手伝ってもらいましょうか」
「なんかやけに口軽いなと思ったらお前、そもそも断らせる気無いじゃねぇか……」
「拒否権を与えないのが私のやり方です。隙を見せたお前が悪い」
確かにそうかもしれんが、詐欺より酷いやり方だ。オレも……似たような事したことあるな、文句言えねぇわ。
建物が立ち並ぶ村の方へ進む。
鬼が出るか蛇が出るか。
どちらにせよ、碌なもんではない。
「宿についたら、もう少し詳しく教えろ」
「? 何をですか」
「この村の詳細と、調査の詳細」
「了解です」
奇探 小箱癒切 @Syor0996n
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