12月16日 紅葉染

 宿の部屋に置いてある手拭いは、持ち帰ってかまいません。紅葉染もみじぞめといって、鮮やかな紅色をした染め物です。これは絞り染めですが、宿によってはムラのない無地だったり、紅葉もみじの葉っぱがろうけつ染で抜いてあったりと様々です。


 これだけ鮮やかな色合いですから、紅葉染といっても名前だけで、実際は別の染料を……と思われるかもしれません。ですが、これに関しては本当にこの区域の紅葉が使われています。もみじと呼ばれていますが我々の知っている楓とは少し違う樹木であるようです。葉を千切って指先で少し揉むと、赤い色が滲み出てきます。染料としてだけでなく、化粧品の素材にもなっているそうですよ。繊細な木の葉のレリーフが施された緋銅の紅入れは、お土産にもぴったりです。


 話が逸れましたが、紅葉染と呼ばれるのはもちろん手拭いだけではありません。美しい紅に染められた絹は目を見張る美しさです。


 婚礼衣装にも使われるので、それにあやかってか、あちこちの土産物屋で縁結びのお守りとして紅葉染の組紐が売られています。蝶の形の飾り結びが可愛らしく、アクセントにつけられた紅葉結晶のビーズも綺麗です。


 その意匠ゆえにアクセサリーとしても人気ですが、あくまでも「縁結びのお守り」として知られているものですから、お土産で渡す相手には気をつけましょう。

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