第3話
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18か月の修習が終わり、2025年9月、ノートルダム寺院の近くのパリ控訴裁判所(la Cour d'Appel de Paris)でクリステルたちの新人弁護士宣誓式(la prestation de serment)が行わられることになった。クリステルは黒い法衣で参列した。山口美江も裁判所に来ていた。宣誓式終了後、何か裁判所で特別の催し物があるとのことでCNNのニュースキャスターが取材に来ていた。
「CNNです。パリ控訴裁判所の中からの中継です。新しく弁護士になられた方々の宣誓式がこれから行わられます。全部で40人います。14時になりました。パリ控訴裁判所長官(le premier president de la cour d'appel de Paris)が入ってきました。 真っ赤な法衣です。次に控訴裁判所判事(ses conseillers) 法院検事(l'avocat general) 2人の裁判所書記官(greffiers)です。そして書見台とマイクが持ち込まれました」
パリ控訴裁判所長官がマイクをつかみ書見台の前で述べ始めた。
「法院検事長殿(Monsieur le procureur general、弁護士会会長殿(Monsieur le batonnier)、本日新しい弁護士を向かい受け入れることができてとてもうれしく思います。名前を呼ばれたら右手を挙げて宣誓してください。宣誓文は次の通りです『私は、品位を持ち、良心を持ち、独立して、誠実に、人道的に、弁護士の職務を行うことを誓います』(je jure comme avocat d'exercer mes fonctions avec dignite,conscience,independance,probite et humanite)」
40人の宣誓が次々と行わられていった。クリステルの名前が呼ばれた。クリステルは右手を挙げた。
「誓います」
こうして宣誓式が終わった。クリステルは山口美江のところにやってきた。
「クリステルさん、おめでとうございます。フランスでは弁護士も黒い法衣を着るのですね」
「はい。この法衣はオーダーメードです。裏地には私の名前と弁護士になった日付、今年9月2日が赤い糸で刺しゅうされています」
クリステルは法衣の裏の右側を見せた。
Christelle Koizumi 02.09.2025
「黒字に赤い刺しゅう、いいファッションです」
「1時間後が楽しみです」
「はい?何ですか?クリステルさん」
「あとでわかります」 つづく
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