第4話
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パリ控訴裁判所での新人の弁護士の宣誓式が終わったのであるが、この後このまま裁判所で何か特別の催し物があるとのことだった。そのため裁判所から立ち去るものは少なくまだたくさんの参列者たちが残っていた。クリステルと山口美江も裁判所から立ち去ろうとはしなかった。二人は雑談しながらこれからこの裁判所で起こることを待っていた。
「クリステルさん、宣誓式が始まる前、参列していた年配の弁護士の先生の方たちが『今日は弁護士会会長殿』とお互いにあいさつされていましたが、弁護士会会長は一人ではないのですか」
「フランスでは弁護士会会長という敬称は生涯続くようです」
「そうですか」
「私はこれから用があるので失礼します。しかし美江さんはここにいてください」
「どういうことですか」
「今にわかります。ああ、何年ぶりだろう……」
クリステルは宣誓式場を出て行った。
しばらくすると廊下がにぎやかになってきた。山口美江は何事かと思い式場を出て廊下に出た。裁判所の長い廊下をランウェイのようにしてパリコレのモデルたちが歩いてきた。その中にクリステルがいた。彼女は黒い弁護士の法衣のようなドレスを着ていた。
CNNのニュースキャスターがさっそく実況中継を始めた。
「CNNです。さっそく始まりました。今年の9月の秋のパリコレはここパリ控訴裁判所で行わられることになりました。裁判所の長い廊下をランウェイにして、モデルたちが歩いてきます。その中に先ほど宣誓式で宣誓されたクリステルさんもいます」
クリステルが歩いてきた。着ている黒い法衣のようなドレスの表に名前と日付が大きく赤い糸で刺しゅうされていた。
「ここでクリステルさんのマネジャーの山口美江さんにお話を伺いたいと思います」
山口美江に対するCNNのニュースキャスターによるインタビューが始まった。彼女は突然のことだったため少し戸惑ってしまったが冷静に対応した。
「日本の皇室の眞子様とご結婚された小室圭さんは、アメリカの弁護士試験を受験されました。クリステルさんはフランスの弁護士試験を受験されたのですね」
「はい。フランスの大学で学習していたからです。シャネルのモデルをされていたイネスさんによると、フランスではモデルはバカだと思われているようですが(En France,on est tellement persuade que les mannequins sont betes!) これでバカではないと証明できたと思います」
「モデルのイネスさんといえば、18歳でモデルデビューされたわけですが、日本でデビューでしたね」
「はい、日本の大手出版社の広告に採用されたようでした。」
「デビューするため、仕事を見つけるため、写真を持って地下鉄でパリじゅうを歩き回ったそうです(J'arpentais tout Paris en metro avev le peu de photos que j'avais pour essayer de trouver du travail)。最初は呼び出しは全くなかったようです(Ils ne m'ont jamais rappelee)。しかし、クリスティーヌ通りのホテルで日本人とあったそうです(j'ai eu rendez-vous dans un hotel rue Christine avec des Japonais)。それで日本の出版社で採用されたようです(Ils m'ont engagee pour la publicite d'une tres importante maison d'edition au Japon)」 つづく
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