第2話

 山口美江がジャポレル社から事務所に帰ってきた。そこには真剣な表情のクリステルがいた。

「クリステルさんですか、ジャポレル社が来年の春と秋のパリコレもお願いしますとのことです」

「あー、来年のパリコレは無理です」

「どうしてですか」

「来年、弁護士試験を受けるからです」

「そういえばクリステルさん現在大学4年生でしたね」

「そうです」

「何とかなりませんか。クリステルさんのおかげで売り上げが急に増えたとジャポレル社が喜んでいます」

「試験の申し込みもうしてしまいましたので」

「試験はいつなんですか」

「来年の9月です」

「ずいぶん申し込みが早いのですね」

「申し込みは試験の年度の前年12月31日の前までなのです(Le candidat doit s'inscrire aupres de l'universite de son choix avant le 31 decembre de l'annee precedant l'examen)」

「しかし試験が9月ならば、春のパリコレでしたら出られますよね」

「いえ、来年の8月1日の前の日までにMASTER1の最初の単位60単位取得したことを証明しなくてはならないのです(Il doit justifier de l'obtention des 60 premiers credits d'un Master1 avant le 1er aout de l'annee de l'examen)」

「確かフランスの大学は3年間学習するとLICENCE,4年間学習するとMASTER1の学位を取得できたのでしたね」

「はい。フランスの弁護士試験を受験するためにはMASTER1の学位が必要なのです」

「そうでしたか。試験は来年の9月とのことですが何日ごろですか」

「9月の前半2週間内です(dans la premiere quinzaine de septembre)」

「でしたら秋のパリコレは9月下旬だから、秋なら大丈夫ですね」

「11月の前半2週間内に口述試験があるのです(Les epreuves d'admission debutent dans la premiere quinzaine de novembre)。しかし9月の筆記試験(Les epreuves d'admissibilite)で合格できそうにもなかったら出られます」

 翌年、クリステルは9月の筆記試験に合格したため秋のパリコレの出ることができなかった。11月に口述試験を受け、12月1日、いよいよ最終合格発表があった(Les resultats d'admission sont publies par chaque universite le 1er decembre de l'annee de l'examen)。クリステルは合格したため、弁護士研修所(CRFPA)で翌年1月1日から1学期6か月3学期制の修習が始まった(la formation debute le 1er janvier suivant)。     つづく

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