パリコレ弁護士

@abc2075

第1話

第1話

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 2022年12月。パリにあるアパレル日系企業、ジャポレル社。高級ファッション用品を扱っている会社である。この会社の事務室で机の上に何枚かのデザイン画が置かれていて、それらを見ながら二人が話していた。男と女である。

「来年もクリステルさんをよろしくいお願いします。クリステルさんをパリコレのモデルに起用させてもらったため売り上げがとてもよくなりました」

「ありがとうございます」

 山口美江がジャポレル社社員と来年のパリコレの打ち合わせをしていた。クリステルは現在大学4年生のパリコレモデルである。山口美江はマネージャーをしている。

「クリステルさんに、これから売り出したい服のモデルをまたお願いしたいのです」

「ありがとうございうます」

「もうすぐパリオリンピックがあります。それでそのパリオリンピックをイメージした服を売り出したいのです。これらが今考えているデザインです」

 担当者が何枚かのデザイン画を見せた。

「オリンピックの象徴といえばやはり五つの輪、つまり五輪です」

「そうですね」

「そこでこの五輪をイメージしたデザインです」

 五輪とそれら五色からなるデザインであった。

「ただこのデザインは確かにオリンピックをイメージしています。しかしフランスをイメージしているわけではありません。つまりこれはどこの国のオリンピックでも通用するものと言えるでしょう」

「そうですね」

「そこで次のデザインですが」

 彼は別のデザイン画を見せた。

「特にフランスを強調したデザインです」

 フランス国旗の三色、青、白、赤からなるデザインであった。

「これはフランスを強調してはいます。しかし五輪の輪がないためオリンピックのイメージが薄くなってしまっていると思われます」

「そうですね」

 彼はもう一枚のデザイン画を見せた。

「そこでこれです。オリンピックのイメージとフランスのイメージ両方を取り入れたものです」

「これはいいですね」

 五輪の五つの輪が、青、白、赤だけのデザインであった。

「このイメージの服をこれからわが社でパリオリンピックに向けて売り出そうと考えています」

「わかりました。うまくいくと思います」

「そうなってもらえるとありがたいのですが」

「クリステルさんなら大丈夫ですよ」

「そうですね、では来年の春と秋のパリコレもお願いします」   つづく

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