.
「───ありがとうございました~。」
────…パタン…
その後。
カサカサと小さな袋を手に、コンビニを後にした俺達は再び車に乗り込んだ。
「彩、お菓子何買ったん?」
「んーとね、コアラのマーチ♪」
「ぶっ」
「もちろんイチゴ♪」
────カサッ♪
再び車は動き出し、彩はコンビニ袋からお馴染みのコアラのマーチを取り出した。
コッ、コアラのマーチて!
どんだけ突っ込み所満載…!
「♪」
吹き出した俺を気にもせず、彩は上機嫌でコアラのマーチの封を開ける。
「あ~♪幸せっ!」
「ははっ。コアラのマーチで大袈裟な。」
「だってあたしコアラのマーチ大好きなんだもん♪
朝岡さんも食べる?」
「え?」
「────はいっ♪」
────…ドキッ…!
気づけば、目の前。
別にどうってこともない視界に、急に彩が映る。
「どーぞっ♪」
無邪気にコアラのマーチを一つ差し出す君に、どれだけ釘付けになった事か。
─────…
ふいに。
君の指先が俺の唇に触れた時。
……笑ってくれてもいい。
君とキスした錯覚さえ覚えたんだ。
「おいしーでしょ?」
「……うん…」
唇に残る君の感覚。
間接キスにも程遠い、指がただ触れただけのコト。
笑われてもいい。
バカにされたっていい。
「…───んーっ♪
春だねぇ~♪」
「……うん。
────春やな。」
───…俺にも、やっと。
君の指先から春が訪れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます