第17章 名もなき場所から

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第17章 名もなき場所から













────サァァァッ…







季節は、春。



空には鳥が飛び交い、太陽が優しく感じられる春特有の温かい雰囲気。



頬を撫でる風がやわらかくて心地いい。








「───行くぞ壱ー!」




「───オッケェェイっ!


投げてゴローちゃぁぁぁ~~~んっ!!!!!」








━━━━━パシッ!





やわらかい陽気に包まれ、今年も見事な桜が咲き乱れるこの山頂で。






「───きゃぁぁぁゴローちゃんの下手っぴぃぃ!

どこ目掛けて投げてんの~っ!?!?」




「ワザとだよ、ホラ早く取ってこーい」





「もぉぉぉっ!」








少し遠く離れたところで、壱と吾郎の二人がキャッチボールをしながら戯れて遊んでいる。






────…コロンッ。




コロコロ……。




桜の木の下で座っている俺の足元にボールが転がって来て、俺はゆっくりと手を伸ばした。






「━━━純~~っ!!!!



ねぇそこのボール取ってぇぇっ!


ゴローちゃんキャッチボール下手っぴなの~!!」




「何だってぇ?

壱だって投げ方むちゃくちゃだろ。人の事言えないよ。」




「えぇぇっ!!!!!嘘っ!」









「…───」






騒ぐ壱と吾郎の言い合いを見つめながら、俺はゆっくりと立ち上がった。







───…朝岡 純。





まだ完全復活とは言い切れない、22回目の春。

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