第12話 違い
虚をついたせいか、冒険者はあっけなく殺す事が出来た。
鎧を着ているとはいえ、所詮は冒険者。
皮や普通の金属の鎧。
そんな物なら俺の爪は簡単に引き裂く事が出来る。
簡単に引き裂き血祭にあげた。
同胞かも知れない存在を傷つける存在.......そんな人間に生きていく価値は無い。
「あっあああーーーっ」
まだ御者が残っていたな……
「俺はこれでも慈悲深いのだ! 楽に殺してやろう」
冒険者たちとは違い、此奴はただ馬車を操車していただけだ。
だが、所詮は人間。
殺さないという選択は無い。
だから、楽に殺してやる。
その位の慈悲は俺にはある。
俺は悪魔としては慈悲深いのだ。
「たっ、助けて……」
「ああっ、楽に殺してやる! そらよ!」
可哀そうだから一瞬で首を跳ねてやった。
首は宙を舞い、そのままストンと地面に落ちた。
良く、処刑にギロチンを使うが、あれは慈悲なのだ。
一瞬で絶命でき、苦痛も一瞬で終わる。
首が落ちたと同時に体の首の部分から血がドバッと吹き出す。
殆ど苦痛は無く、楽に死ねたはずだ。
冒険者たちは……まぁ苦しむ様に腹を裂き苦しみながら死んでいった。
今、冒険者はバラバラになって血の海に肉片が転がっている状態だ。
「待たせたなっ!」
そう、魔族の女に伝え、檻に近づきカギを破壊した。
「あっあの、その姿その力、貴方は上級魔族様ですか?」
俺の姿は魔族に似ているのか?
「別の世界から来た悪魔だ……」
「悪魔? ですか?」
驚いた顔をしている。
どうやら悪魔を知らないみたいだ。
彼女の容姿は悪魔にも似た容姿の存在も居る。
だからか、懐かしく思える。
「ああっ、異世界人が勇者を異世界から呼ぶだろう? 異世界から来た強い魔族みたいな者……そう考えて貰って構わない」
「魔族版、勇者みたいな存在なのですね……その、助けて頂き有難うございました! 約束通り身も心も捧げます、なんなりと……」
「いや、確かに『助ける』という約束は守ったが、まだこれで終わったわけじゃない……俺がそれを受け取るのは全て終わった後で良い」
「全て終わった後ですか?」
「ああっ、話しで聞いた木こりに地獄を見せて殺し、村人を皆殺しにする……そこ迄が契約だ」
俺は悪魔としては甘いのかも知れない。
彼女が望んだのは『助け』だ。
だが、俺はその前に『もし、俺が仇をとってやると言ったらどうする?』と聞いている。
この場合の契約は……此処やって達成したそう言えるだろう。
「本当に……本当に仇を討ってくれるのですか?」
「俺は悪魔だ! 悪魔は義理堅く約束は守る......絶対にな」
「ううっ……ううっありがとうございますっ! 本当に、本当に……」
やはり人間相手とは違う。
あんな下等動物には感情が揺すぶられたりしないが……
彼女が泣いていると何故か『哀れみ』や『どうにかしてやりたい』そういう感情が沸いて来る。
やはり、人間には『愛』など無い。
保身の為に自分の子を焼き殺す様な生き物に『愛』などある筈はない。
やはり、魔族や悪魔とは違う。
「そう言えば、名前は? 」
「私の名前はアルと言います! あの、悪魔様のお名前は?」
「俺の名前は人間の世界では恵介、悪魔としては『切裂く者』と呼ばれている」
「そうですか。 それでは悪魔様を人の名前で呼ぶのもおかしいですし『切裂く者』と呼ぶのもおかしいので『キリ様』と呼ばせて頂いて大丈夫でしょうか?」
「ああっ、それで構わない……それじゃ、此奴らから必要な物でも貰って暫く休むか?」
「はい……あっトロス」
さっきのブルーウルフがこちらの方に寄って来た。
「やはり、その狼はアルのだったんだ」
「はい、この子は私の使い魔です!」
「その子が俺を此処まで連れてきたんだ! まぁお手柄だな」
「うふっ、トロスありがとう!」
狼の魔物ですら飼い主を案じるのに……子供を殺すなど、やはり人間はクズだ。
しかし、彼女の笑顔は魅力的だ。
サターニャ様も美少女だったが、俺はより大人っぽい女性の方が好みだ。
ガキとは......違う。
サターニャ様の前では言えんけどな。
魔物や獣がくれば人間は良いエサになるのでそのまま死体は放置した。
アルも魔族だから気にはならないようだ。
アルと手分けをし冒険者の持ち物を全部頂いた。
思ったより、遅くなったので冒険者が持っていたテントを張り、今夜は野営する事にした。
アルは手早く焚火を起こし、冒険者の持ち物で料理を始めた。
サターニャ様との関係は主と従者だから食事は俺が作っていた。
手早く料理をするアルを見ると感慨深い物がある。
「これは美味いな」
焼いた肉にスープにパン。
だが、味付けが良い。
「気にいって貰えて良かったわ。まだ沢山あるからどんどん食べて下さいね」
「ああっ……ありがとう」
やはり人間とは違う。
魔族は……凄く良い。
◆◆◆
テントで一緒に寝たのだが、横で涙を流し嗚咽しているアルを見て……俺も悲しい気持ちになった。
村人……特に木こりは……
『残酷に殺してやる』
そういう憎しみが沸いてきた。
多分、俺の中でアルは同族。
そう思えているからかも知れない。
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