第9話 愛も夢も欲の前では......


俺は色欲の悪魔じゃない。


だが、それでも悪魔だ。


悪魔の全盛期には魔女がサバトで俺達を呼び出し体と心を捧げ、加護を得ようとした。


悪魔との性交は人間には贖えきれない物がある。


王をライアが殺した事で、この城の主はライアとなった。


そして、ライアは俺に抱かれた事で俺の女に成り下がった。


コーラル王国は、勇者召喚国。


その王国が、事実上俺の物になった。


この城にいる女は全員犯しまくり俺の虜にした。


悪魔と交わった女は普通の男じゃもう満足できない。


もし、同じように満足させられる男が居るとしたら、それは悪魔だけだ。


この世界の魔族が俺と同じ悪魔に近い存在なら、此奴らを満足させられるかも知れない。


だが、もし違った場合は……此奴らはもう俺でしか満足できない。


此処まで来たら……正体を現しても問題は無いだろう。


俺は悪魔の姿に戻った。


「恵介様ぁ~ライアをもっと、もっと愛して下さい……えっ、恵介様は……エルフだったのですか? 道理で美しい筈ですわ」


エルフ?


確かに俺の悪魔としての姿は耳が長い。


だが、肌の色がやや青みが掛かり、バンパイアの様な牙がある。


「エルフ……この世界の魔族は俺と容姿が違うのか?」


「耳が長い種族はエルフとダークエルフしか居ませんわ。 恵介様は冗談が好きなのですね! 肌の色や牙がある魔族は居るかも知れませんが……魔族の容姿は一定ではないので、その姿が絶対ではないですね」


確かに悪魔も本当の姿はまちまちだ。


手足が沢山ある者から、羊の頭を持ったもの……昔会ったベルゼバブ様はほぼ蠅だったしな。


この姿でも驚かないなら、問題は無いな。


尤も、念の為普段は、恵介の通常の姿で居た方が良いかもしれない。


「そうか……まぁ良いや! 近く馬車を出してくれないか?」


「何処か行かれるのですか?」


此奴、色ボケして忘れたのか?


「いや、そもそも異世界人を呼んだのは、魔王と戦う為じゃ無いのか?」


尤も俺は魔族と接触したら向こう側につくけどな……


「確かにそうですが、恵介様を私もこの城の人間もお慕い申しておりますわ……しきたりで王には出来ませんが王配になって楽しく暮らしませんか? 毎日毎日退廃的な生活をおくりましょう……城の女全部が恵介様の物ですわ」


親を殺し、恋人に夫も殺しまくったのにこれだ……


こんな奴らに『愛』なんて無いだろう……


親や恋人、旦那、時には子供まで殺しても犯ったらもう、俺の虜だ。


肉欲と言う名の欲しかない……それが人間の本性の様な気がする。


『夢』だってそうだ……


偽善者ぶって夢や希望を語り、俺に犯されるのを拒んだ女も居た。


だが、犯した後は、俺の体を求め……捨ててしまう。


女騎士は武勇を夢見ていたが……


『私はこんな事にくっしなどしない!』


そう言っていたが……


『あっあああっ……頼むからじらさないで抱いてーーっ抱いて下さい』


今や只の憎欲の塊。


下着すら履かないで城の中を歩いている。


恋人との結婚生活を夢見ていた女も……


『私には好きな人が居るんです……いや、やめて、やめてーーーっ』


と舌を噛もうとしていたが……


『もっとーーっ! もっと――っ』


と俺の上ですぐに腰を振り続ける。


これだけの人数が居ながら、誰一人悪魔の誘惑に勝てない。


麻薬の数十倍の快感を与える悪魔との性交......それに誰も勝てなかった。


こんな種族に『夢』?『愛』? そんな物があるわけ無い。


人間と同化して人間になったサターニャ様や他の同胞の気が知れない。


こんな奴ら、全員自由に出来る玩具だ。


極めつけはこのライア王女だ。


性欲の為に世界を捨てた……


魔王と戦う為に異世界人を召喚したのに……


俺に戦いを捨てろと言っている。


俺は悪魔だがアスモデウス様みたいに色欲を司っている訳でない。


これから、どうするかな……


そう言えば……


「なぁ、ライア……俺達が使う武器は何処にあるんだ!」


「聖剣とかですか? 聖剣の所有権利は恵介様にありますわ……欲しいならすぐにお渡しします」


危ない……そんな物があったのか。


此奴は処分しないとな。


そのあと、剣を含む聖なる武器を見せて貰ったが俺にも触る事が出来た。


取り敢えず、アイテム収納に全部突っ込んで置いた。


これは、この世界の魔王に良い手土産になるかも知れない。


あとは、どうやってこの城から出て行くかだな。







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