第8話 愛などは無い


「なんと下劣な男……体は許しても心は許しません……」


悪魔に魅入られた時点で終わりだ。


悪魔は人類の敵……そう言うが、幾ら喚こうが上位者だ。


存在で言うなら、天使や神に等しい。


「ほう、そこ迄言うのなら試してやろう! 最初位、寝室で優しくしてやろうと思ったが……このまま皆の前で相手して貰おうか……」


ビリビリビリッーーー


「嫌ぁ嫌ぁぁぁぁーーーーー! やめて、やめて下さぁーーい!」


力ずくで服をはぎ取ると、色白の綺麗な裸体が晒される。


殆ど男は居ないとは言え、お姫様が使用人や他の者の前に肌を晒すのはさぞかし屈辱だろう。


だが、それで終わりじゃない……犯られるんだからな。


そして……ライアは俺の股間を見て顏が真っ青になっている。


俺は悪魔だ……俺のそれは、人間の拳並の太さがあり長さは肘から先の長さがある。


「嘘です……そんなの……そんなの入る訳ありません……助けて、誰か助けて……ああっ、ああーーーっ嫌ぁぁぁぁぁーーー」


口をパクパクして顔から涙を流して鼻水まで垂らしているが……知らないな。


俺は強引にライアを抱き寄せた。


◆◆◆


悪魔と性行為は切り離しては考えられない。


魔女が行うサバトでは魔女と悪魔が交わう……


悪魔は幻覚や魔法を使いありとあらゆる快楽を魔女に与え、場合によっては魔力を与える。


悪魔崇拝者が行う乱れた儀式だ。


当然悪魔である俺も過去に参加した事がある。


この世界には、敵対する宗教が無い。


つまり、悪魔である俺から身を守るすべはない。


余程の聖人でない限り悪魔の誘惑や快楽からは逃れられない。


まして敵対する神や天使が居ない以上、その快楽や欲望から逃げるすべはない。


「ハァハァ~恵介さまぁ~気持ち良い、気持ち良いです ライアはライアは、あっあっあぁぁぁーー心からお慕いしております」


最初の頃は泣き喚いていたが、すぐに堕ちた。


僅か数時間で自ら腰を動かし、愛を囁いてくる。


麻薬の数十倍の快楽を与え続けていたのだから、そうなるのも当たり前だ。


それにもう、此奴は他の男じゃ満足はさせられないだろう。


拳大の俺のアレになれたら、他の男のあれはマッチ棒みたいな物だ。


もうライアは誰も満足させる事は出来ないし、俺以外じゃ自分も満足できない。


「口では幾らでも言えるな……」


冷たく俺は言い放つ。


「私は、口先でそんな事は言いません……本当に、本当に恵介様を愛しています」


「うんぐっうんぐっ」


俺がライアや他の女と楽しむ中、国王ドラド6世を縛り上げ近くに転がしておいた。


「そうか……本当に愛していると言うのなら、そこに転がっている、お前の親を殺せるよな? 殺せるなら、お前の愛は本物だと認めてやる! 出来ないなら、俺はもうお前を抱くことは無い……出来るか?」


サターニャ様は人には『愛』がある。


そう言っていたが、俺からしたらそんな物はあるとは思えない。。


あるのは『性欲』『支配欲』『独占欲』だ。


『愛』は幻想。


愛に含まれる現象は『欲』で説明がつく。


「ハイ!」


「それじゃ、これを……」


俺はナイフをライアに渡した。


「お父様……私の幸せの為に死んでください!」


「うんーーーううーーううーー」


ライアは恍惚の表情で国王に跨りナイフを突き立てた。


本当に愛があるなら……


親子の絆があるなら、殺したりできない筈だ。


だが『性欲』という欲望の為に躊躇なくライアはナイフを突き立てた。


ドスグサッドス……そこに一切の躊躇は無い。


「うんぐっーーうんううーーっ」


「お父様……私の幸せの為にハァハァ死んで下さいね……ハァハァ」


『性欲』の為に親を殺す人間……此奴らの何処に『愛』があると言うんだ。


俺には理解できない。


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