第2話 本当の願い
路地裏に行くと少女が裸で横たわっていた。
服をはぎ取られ、散々殴られたのか顔半分が腫れている。
月明かりでみた彼女の体は痣だらけで、股からは純潔を失った証の血が出ていた。
「何しにきたの……」
少女は消え入りそうな声で俺にいってきた。
目の焦点があってないのが解かる。
可愛らしかった顔も涙と鼻血と痣で見る影もない。
「お前の願いを叶えにきた」
「なんで……なによ今更! 全部、終わった後じゃない! こんな……ボロボロになった私をどうやって助けるの! うっうっうわぁぁぁぁぁーーん」
この女、勘違いしている。
お前の願いは『犯されるから助けて』じゃない。
もっと違う物だ。
俺は少女の方に金貨袋を放った。
「お前が望んだのは『犯されるから助けて』ではない! 本当に心から望んだのは『お母さんを助けて』だ! 薬代が必要なのだろう? その金貨袋にはお前の母親の薬代以上の金がある……これでお前が一番に願った事は叶ったのでは無いか?」
少女の涙と嗚咽がピタリと止まり……目に光を取り戻したように見えた。
「どうして……それを……貴方は……」
不思議そうな顔でこちらを見ている。
恐らく『悪い人なの、それとも良い人なの』
そう言いたいのであろう。
そんな事に意味はないし、興味も無い。
「優しい少女が男に汚され俺に好ましい境遇になった。 だから願いを叶えたそれだけだ……それ以上でもそれ以下でも無い。その薄汚く破られた服に隠していけば大金を持っているとは気づかれまい、さっさと行くが良い」
ノロノロと這いつくばって少女は金貨袋をボロボロに千切られた服の中にしまい込んだ。
こんな哀れな少女が大金を持っているとは誰も気づくまい。
少女は何故か俺を優しい目で見始めたが……そんなのはどうでも良い。
俺は悪魔だ……清らかな女より娼婦の様に薄汚れた女の方が好きだ。
薄汚れた女になったからこそ……本当の願いを叶えた。
ただ、それだけだ……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます