現世界最後の悪魔 異世界へ行く! 異世界で再び、俺は自分を取り戻し、悪魔らしく生きていく……それだけだ!(仮)
石のやっさん
第1話 ブラッククロー
なかなか美しい少女が男3人に追いかけられている。
「助けてーーっ! 助けて下さぁーーい!」
茶色の髪の幼い顔立ち、成長すればさぞかし美しい女になるだろう。
追いかけているのは……身なりの良い男達だ。
1人は裕福な商人かはたまた貴族。
そんな所だろう。
多分、残り二人は……護衛だな。
少女と鍛えられた男2人、追い付かれてしまうのは時間の問題だ。
幾ら叫んでも少女の助けは届かない。
此処はスラム街。
そして、相手は恐らく権力者。
誰もがきっと見てみぬ振りをする。
「助けて……お願いですから私を助けてーーっ!」
少女が俺に縋ってきた。
何処かの物語の主人公なら多分三人の男を倒し、この少女を助けるのだろう……だが、俺はしない。
悲しげな顔の少女と目があった。
「助けてぇぇぇぇーーー! お願いですぅぅぅーーー!」
泣きじゃくっているが、俺には関係ない。
俺は少女を捕まえ……男達三人に引き渡した。
「へっへっへっ、すまねーな」
護衛の一人が下衆な顔で俺にお礼を言い、少女の腕を掴んだ。
「嫌ぁぁぁーー痛いっ、人でなしーーっ」
泣き顔で俺を罵っているが関係ない。
「……」
男達三人は少女を路地裏に連れ込んでいった。
どうやら、此処で犯すようだ。
路地裏の奥から、少女の悲鳴と男達の下衆な声が聞こえてくる……
「いやぁぁぁぁーー、いやぁぁぁぁーー助けてーーっ」
「うるせーよ! 誰も助けなんてこねーんだよ!」
「来てもエドモンド様の顔を見たら逃げ出すさ……」
「俺が金を払ってやる……そう言った時にやらせれば良かったんだよ! このクソガキが、拒むからこうなるんだ! 金も貰えずに犯されるんだ……この貧民がっ」
どんな場所でも月は綺麗だな。
俺は、ポケットに手を突っ込み、タバコを取り出し咥えた。
路地裏の奥から少女の悲鳴と嗚咽が聞こえてくる。
散々罵り、暴力を振るわれる音がやんだ。
恐らく、少女は抵抗をやめたのだろう。
下衆の厭らしい声だけが聞こえてきた。
◆◆◆
おおよそ2時間位か……
男達は満足そうに路地から出て来た。
「なんだ、兄ちゃんまだ居たのか? 捕まえるのを手伝った駄賃だ! 俺達がやったあとだが、使うか? 」
「もう興味ないから、好きにして良いぞ! あれはもう要らないからな!」
「兄ちゃんついているな! 捕まえるのに協力したから無料で女にありつける。エドモンド様に感謝するんだな!」
願いは叶えた。
「あの女を抱きたい……その願いは叶えた! その対価を払って貰おうか……」
「なんだ、お前金が欲しかったのか?」
「卑しい奴め、恵んでやるから這いつくばって拾え!」
「卑しい奴だ」
そう言って男は銀貨1枚俺の方に放り投げた。
「金も足りないな……あと対価も足りない」
俺は三人に近づくと護衛の男1人の男の胸を右手の爪で貫いた。
俺の爪は伸縮自在……そして貫けない物は無い。
男の心臓を貫き、血がその場に滴り落ちる。
「貴様ぁぁぁぁーー良くもアランをぉぉぉーーー」
もう一人の護衛が剣を抜き俺に襲い掛かって来たが、左手を払うように軽く振った。
その瞬間、俺の爪で剣は切断され、護衛の男の首が宙に舞った。
少し時間をおいてぐしゃりと音を立てて男の首は落ち、バランスを失った体は倒れ込んだ。
「たたたたたっ助けてっ、助けてえぇぇぇぇーー」
情けない事に座り込んで泣きながら俺に命乞いをしてきたが......意味はない。
「俺に命乞いは無駄だ」
俺はそれだけ言うと、最後の男の腹を爪で引き裂いた。
男の腹からはピンク色の内臓がこぼれ落ち……男は苦しみながら死んだ。
人の内臓は……本当に美しい。
さて、回収するか……男達の死体から財布や金目の物を抜きとり俺は路地裏奥へと歩いていく。
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