第78話

レオンが頷いて、ギルバートさんが私の目を見た。


「いいんだな。では続けさせてもらうぞ。おまえはこの国に仇為す存在か? 騙したり、隠していることがあるか?」

「私は……」


 私の口が何か言いかけて動くのを、レオンとギルバートさんが固唾を呑んで見守っている。そして私の口は勝手に捲し立てた。


「『やましい所なんざひとつもねえ! 俺のハートは清廉潔白。お天道様に見せても恥ずかしくねえんだぜ!』」


 声真似まで完璧な私の台詞に、レオンとギルバートさんは揃って目を丸くした。息ぴったり。兄弟なんだな、やっぱり。


 ギルバートさんが感嘆のため息を吐いた。


「驚いたな。この女、深層心理でも変わらず阿保のようだ」 

「こいつの阿保さ加減を侮るなよ、ギルバート。何しろ本物の阿保なんだからな」


 こらそこの兄弟! こっちが何も言えないからって、失礼な会話をやめなさい!


 咳払いをして、ギルバートさんが続ける。


「では、ミナ。おまえの目的はなんだ」

「元の世界に戻りたい。けどレオンが好きだから戻りたくない。レオンは私の、宇宙一の番長なの。だから戻りたいけど、レオンと離れたくない。レオンが大大大だーい好き。レオンのそばにいたい」


 ふあぁあぁあ!? 私の口何言ってんの!?

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