第78話
レオンが頷いて、ギルバートさんが私の目を見た。
「いいんだな。では続けさせてもらうぞ。おまえはこの国に仇為す存在か? 騙したり、隠していることがあるか?」
「私は……」
私の口が何か言いかけて動くのを、レオンとギルバートさんが固唾を呑んで見守っている。そして私の口は勝手に捲し立てた。
「『やましい所なんざひとつもねえ! 俺の
声真似まで完璧な私の台詞に、レオンとギルバートさんは揃って目を丸くした。息ぴったり。兄弟なんだな、やっぱり。
ギルバートさんが感嘆のため息を吐いた。
「驚いたな。この女、深層心理でも変わらず阿保のようだ」
「こいつの阿保さ加減を侮るなよ、ギルバート。何しろ本物の阿保なんだからな」
こらそこの兄弟! こっちが何も言えないからって、失礼な会話をやめなさい!
咳払いをして、ギルバートさんが続ける。
「では、ミナ。おまえの目的はなんだ」
「元の世界に戻りたい。けどレオンが好きだから戻りたくない。レオンは私の、宇宙一の番長なの。だから戻りたいけど、レオンと離れたくない。レオンが大大大だーい好き。レオンのそばにいたい」
ふあぁあぁあ!? 私の口何言ってんの!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます