第76話
「騒がしいことだな。ミナ、こんな奴らは放っておいて、私の元へ来るのも一つの手だと思わないか。私の妻になればおまえの安全は保証される。何しろこの城の誰よりも、私は強いからな」
「おまえ何を言ってんだ、ギルバート? いっぺん死ぬか?」
「私と戦って死にかけたのはおまえだろう、レオン」
二人の間に、バチバチと火花が散る。
その後も終始こんな感じで、私が入浴すれば、レオン、クリス、ノア、アダム、イヴの5人の護衛に加えてギルバートさんが、カーテンの向こうに並んで待ってるし、もうプライバシーも何もあったもんじゃない。
そして更にウンザリしたのが、ゲストルームに小型の移動式ベッドを6台運び込み、全てくっつけて、6人で雑魚寝みたいな形になった時だ。
中央が私だけど、いやもう、護衛とかそういう以前に、問題だらけだよねこれ。全員パジャマだし変な感じ。
「おまえら、絶対にミナに寄るなよ。隅で丸まって寝ろ! だいたい護衛なんぞ俺一人で十分なんだよ。今すぐ4台、ベッドを片付けろ!」
レオンがイライラと叫び上げる。
「そうは言ってもレオン兄さん、ギルバート兄さんに負けかけてたじゃん。ボクらとしても、安心してミナを託せないんだよ」
クリスが不満げに口を尖らせた。
「レオン様の指示ですから、私は部屋に戻りますが」
「ノアはボクより強いんだから必要だよ。ここにいて」
遠慮がちに辞退しようとするノアを、クリスが引き止めてしまう。そして結局、雑魚寝は決行されてしまった。案の定と言うか、クリスがコロコロ寝返りして私に身を寄せてくる。
「ミナ〜! むにゃむにゃ! 愛してる!」
「ちょっとクリス!?」
ガバッと抱きつこうとするクリスにぎょっとしていると、レオンが足で蹴り飛ばした。
「クリスティ。寝たふりしてんじゃねえぞ」
「ちぇっ」
その後もしばらくクリスが来たけど、そのたびに蹴りを入れられていた。どさくさに紛れて双子やノアまで蹴りを入れてたのは見なかったことにしよう……。
対ギルバートさんというより、対クリス護衛に囲まれた中、私は次第に眠りに落ちていった。
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