第45話
「ボクはミナのこと本気だよ。モノだなんて思ってない。今日の稽古で、それを証明するからね」
両肩に手を置かれ、クリスと向き合う。
「ボクも一応吸血鬼だし、小さな頃から訓練してるから戦闘力が低いわけじゃないけど……やっぱりボクじゃ兄さんやノアには敵わない。だからボクは、暗示のかけ方を教えてあげる」
「暗示……?」
「そうだよ。ミナは今から、ボクに暗示をかけるんだ。ボクの心の奥まで、全部見せてあげるからね」
クリスは四角いガラス入りのクリスタルを、ポケットから取り出した。レオンの電話らしきものの内部にも、このクリスタルが使われていた。
「これは?」
「エーテルだよ。それを持っていればやりやすくなる」
手のひらサイズのエーテルを握りしめる。指の隙間から淡い光が漏れて綺麗だ。
「私にできるのかな……」
「大丈夫、ボクは暗示にかかりたいと思ってるから、初心者でも難しくないはずだよ。まず、ボクと呼吸を合わせて。ボクの動きに合わせて動きながら、目を合わせて、ゆっくり低い声で話しかけるんだ。心の中、全てを話してって」
クリスの指示に従って、何度も暗示を試みる。やがて五回目。
「クリス、私に心の中、全てを話して」
私が言った瞬間、クリスの表情が変わった。
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