赤い瞳は欲情の証!?

第24話

「い、いやっ!」


 クリスを押し退けて部屋から飛び出す。と、たまたま少し離れた廊下にいたレオンと目が合った。


「そんな格好で出てくるとは、やはり下品な女だな」


 自分の着ているヒラヒラフリフリネグリジェを見下ろし、慌てて部屋に戻る。クリスは服を準備して待ち構えていた。


「さあ、ミナさま。お着替えしましょうね」

「じ、自分で着替えるから……!」

「この服、着るの難しいですよ。今更恥ずかしがる事ないでしょう? 私は貴女の服を脱がして、何度も着替えさせたんですから。それに入浴の後も……」

「っ!! いいから出てって!!」


 クリスを部屋から締め出し、なんとか自分で服を着た。



 ◇ ◇ ◇



 クリスと朝食室に入り食事を始めると、レオンが私をじっと見て問うてきた。


「特攻服とはなんだ?」

「えっ!?」

「おまえの目的だな。どうやらあの胡散臭い召喚士達が、異界人の召喚に成功したのは真実らしい。おまえは奴等の被害者で、敵ではないのはわかった。が、その特攻服とやらがわからない」

「それは、私の大切な夢だよ」


 思いの外、低い声が出た。


 全てを吐かせるとクリスは言っていた。何らかの手段で、意識を失った私から色々聞き出して、皆でその情報を共有したんだろう。私の意思なんか置き去りにして。


「勝手に聞き出しておいて、心の中にまで土足で踏み込んで来ないで! 心配しなくても、あなた達に危害を加えたりしない。私、何もできないもの……」


 私が唇を噛み締めると、朝食室がしんと静まり返る。


「悪かった」


 ぽつりと呟いたのはレオンだ。私は驚いて彼を見た。レオンは多分、この城で一番偉いんだろう。そんな人が、頭を下げるようなことを言っていいんだろうか。


「……もういいよ。私が敵じゃないとわかったなら、自分の部屋をちょうだい。一人になりたいの」


 レオンは神妙な顔で首を横に振った。疲れてるのか、少し気怠そうな表情と目の下のクマが目立つ。毎日どっか出掛けてるみたいだし、忙しいのだろうか。


「悪いが、特攻服とやらについて話して貰わない限り無理だな。それが何なのか知るまで自由にはさせられない。また勝手に出て行かれても困る」

「じゃあ今夜からは、ノアの部屋で過ごすから。三人のうちの誰かであればいいんでしょう?」

「ひどいですわ、ミナさま。私、一晩で使い捨てですか?」


 すかさず口を挟んだクリスを睨みつけると、眉尻を下げて泣きそうな顔をした。その弱々しい顔を見て一瞬怯みかけたけど、騙されないんだからな!


 レオンにもクリスにも襲われかけて、もうノアしかいない。


「誤解を招くようなこと言わないで」


 私の冷たい言葉と態度に、クリスは泣き出してしまった。美少女(?)の涙って良心を抉るんだな……。

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