私は絶対に夢を諦めない!

第14話

シャッとカーテンが引かれる音がして、瞼の向こうの朝日が眩しい。


「うーん、あと五分……」

「朝食の時間に間に合わなくなりますわ。ミナさま、起きてください」


 聞き慣れない可愛らしい声にハッと目を開くと、美少女クリスが私の顔を覗き込んでいた。身体を起こせば、そこは見慣れた私の部屋……じゃなくて、見慣れない天蓋付きベッド、洋館のゲストルームだ。


 夢じゃなかった……。ガックリ肩を落とすと、自分の格好に驚く。ヒラヒラでフリフリなネグリジェだ。


「え、あれ?」

「お着替えさせていただきました。あの不思議な服では寝苦しそうでしたから」

「あ、ありがとう」

「入浴されてはいかがですか? 昨夜はそのまま寝てしまわれましたから」


 クリスに連れられて浴室に入り、カーテンの内側で服を脱いで、浅く湯が張られた猫足のバスタブに浸かる。いい香りの石鹸に、チェーンを引っ張るとお湯が出るシャワーもどきまであって、思ったより快適だ。


 私がバスタブから出ると、クリスは容赦なくカーテンを開けた。私だけ素っ裸で、女同士でも恥ずかしい!


「さあ、急いでお着替えしましょうね。これから食事ですから」


 有無を言わせずタオルで体を拭かれ、服を着せられる。上下に分かれた白い下着、フリフリのシャツ、金属の装飾を施されたコルセットに、フリフリのミニスカート、ロングブーツ。コスプレそのものな派手な格好が落ち着かない。


 ファンガードのない、羽だけの扇風機のようなもので時間をかけて髪を乾かされ、歯車をモチーフにした髪飾りをつけられた。


「ミナさまの髪の毛は、綺麗な黒髪ですわね。艶があってサラサラで、素晴らしいですわ」

「そう? ありがとう」


 伸ばしっぱなしの髪だけど、褒められたら嬉しい。それにしても、自分で髪に触ってみても艶感が増してる気がする。クリスの手入れが良いんだろうか。


「ミナさま、レオンさまが貴女にこれを、と」


 ふとクリスに手渡されたのは、繊細な銀線細工の小さなボックス。開けてみると、赤い宝石の美しいネックレスが顔を出した。

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