第10話
「私は
「女子……コウセイとは何だ? ニホンってのも知らねえな」
レオンさんは怪訝に眉を寄せる。
「おまえの目的はなんだ?」
「目的なんてそんな……日本で気を失って、気がついたらあの変な人達に取り囲まれていて」
「召喚士か。まさかあいつらが、召喚なんて非現実的なことを成し遂げたとでも言うんじゃねえだろうな」
「私には何もわかりません」
レオンさんはフンと鼻を鳴らすと、突然距離を詰めて私に迫ってきた。逃れるように後退りして、膝裏に当たったベッドに座り込む。レオンさんは私をベッドに押し倒した。
「!! なにするの!?」
「この国が、蒸気機関をここまで発達させておきながら侵略もされず、他国の追随を許さないほどの先進国で有り続けている理由がわかるか?」
「ど……どいてください」
怯える私を見下ろして、レオンさんは笑みを浮かべる。その笑みに混じる不穏な色気を感じ取り、私は目を逸らした。
「国境を守っているのが、俺たち一族だからだ」
指先で私の腕の破れた服をめくると、レオンさんは傷口に唇を寄せる。柔らかくて暖かい感触が、丁寧に傷を舐めとる感覚にぞくりとした。
「甘いな。知らない味だ。甘い血の匂い……もっとよく味わわせろ。お前の命の味を」
「命の……味?」
顔を上げたレオンさんを見た私は、息を呑んで目を見開く。青白い肌に真紅の瞳。思わず見惚れてしまうほどの完璧な美しさは、人間離れしていた。
「俺たちはこの国にのみ存在する、特別な血を持つ一族。
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