思わぬ再会

第71話

マンションを出て、二人で冬の公園を歩く。


(やっぱり、手は繋がないんだ。いつから繋がなくなったのかな。もうわからないや……)


 毎日一緒に散歩しているのに、二人の間に必ず開いた、少しの距離が悲しい。ついに思い切った乃亜は、歩きながら理央の手に手を伸ばした。


 指を絡めて、ぎゅっと握りしめる。ふとこちらを見る理央に、にっこりと笑顔を向けた。と、理央にぎこちなく顔を逸らされてしまい、乃亜は気落ちした。


(今日の格好、気持ち悪いと思われたのかな。まだ痩せ方が足りないから?)


 幸い手を振り払われることはなく、そのまま噴水広場へ。噴水の奥に広がる湖と、緑豊かな景色を眺めることができる、気持ちの良い場所だ。


「温かい飲み物買ってくるよ。待ってて」


 そう言って噴水のヘリに乃亜を座らせると、理央は自販機へと向かって行ってしまった。


(せっかく頑張ったのに、少しの間しか手を繋げなかった……)


 しゅんとする乃亜に、誰かが近づいてくる。理央が戻って来たのかと思って見てみれば、理央ではなく予想外の人物だった。

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