新婚生活の……練習?
第16話
「はい、もしもし……」
『もしもし乃亜!?』
電話に出た瞬間、受話器の向こうから響いた大音量に、乃亜は顔を顰めてスマートフォンを耳から離した。
「お母さん……相変わらず電話の声が大きすぎ」
『あ、ごめんね。それで、どうなの? 健ちゃんとは』
「それが、実は……」
『花嫁修業、一生懸命頑張ったもんね! 乃亜が幸せになってお母さん嬉しい」
「あ、あの、お母さん」
「お父さんもね、毎日お酒飲んで嬉し泣きよ。嫁の貰い手があってよかったって』
「う、嬉し泣き……?」
『そうよぉ、乃亜が塞ぎ込んでから、私達すごく心配したのよ。今は本当に安心してるの』
「そ、そっか……」
(言えない……来て早々にフラれたなんて)
『式の日取りが決まったら連絡してね!』
「う、うん……わかった」
通話を終えた乃亜は、二日酔いの頭を抱える。
(何やってるの私、嘘ついてどうするのよ……!)
「乃亜ちゃんは実家暮らしなんだね」
(あ、やっぱり聞こえてた)
「一人暮らししたかったけど、定職に就けなかったので」
「そうなんだ。でもお母さんに話さなかったのは、しばらくここにいるってことだよね?」
「え? いや別にそういうことじゃ……」
「今日から君は、俺と暮らしながらダイエット。傷を治して彼に会って、俺との結婚を考える。それでいいよね?」
「あ、は、はい……?」
理央の強引さに負けて、まだ迷いを捨て切れないまま、乃亜は頷いてしまった。
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