第48話 雌雄を決するとき
猛虎の駒を手にした塁は、その力が自分の中でさらに強く膨れ上がっていくのを感じた。飛龍の駒との共鳴により、彼の中に潜む力が覚醒し、周囲の空気が変わったかのようだった。新田義貞はその力を感じ取って一歩後退したが、冷静に言葉をかけた。
「お前が猛虎の駒を得たことで、時代を超える力が備わったようだな。だが、その前に足利尊氏を倒さなければ、未来に進むことはできない」
塁は頷いた。「そうだ。尊氏を倒し、この戦を終わらせた後、俺たちは新たな時代へと向かう」
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足利尊氏との決闘は、足利軍の本陣で行われた。尊氏は鋭い目で塁を見据え、その手には彼の名高い刀が握られていた。塁は猛虎の駒を握りしめ、飛龍の駒と共に、その力を全身に漲らせた。
「塁…貴様がここまで来るとはな。だが、俺を倒せると思っているのか?」
尊氏の声は重々しく、威圧感があった。しかし、塁は動じなかった。彼は自分が未来に進むために、この戦いを避けては通れないことを知っていた。
「俺は、現代に戻るためでも、ただ戦いに勝つためでもない。この時代を終わらせ、そして新たな未来に進むために、お前を倒す!」
尊氏は一瞬笑みを浮かべたが、次の瞬間には鋭い剣撃を繰り出してきた。塁はその攻撃をかわし、猛虎の駒の力を解放した。駒から放たれたエネルギーは、猛獣の如く周囲を切り裂き、尊氏の攻撃を相殺した。
激しい戦いが始まった。尊氏はその剣技で塁を圧倒しようとするが、塁は飛龍の駒で敏捷な動きを見せつつ、猛虎の力で尊氏の防御を崩していった。互いに一歩も譲らぬ激戦の中、塁は次第に尊氏の隙を見つけ始めた。
「今だ!」
塁は猛虎の力を最大限に解放し、一気に尊氏の防御を突破した。尊氏は驚愕の表情を浮かべたが、次の瞬間には塁の一撃によって地に倒れた。
「これで終わりだ、尊氏…」
尊氏は地に伏しながら、静かに塁を見上げ、最後の言葉を残した。
「お前の未来は、お前自身が切り開け…。俺はここまでだ…」
尊氏の息が途絶えると同時に、塁の中にある強大な力がさらに増幅された。彼は尊氏を倒し、ついに南北朝時代に終止符を打ったのだ。
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戦いが終わった後、塁は梨花と再会した。梨花は塁の無事を確認して安心し、彼の手を握った。
「塁、次はどこへ行くの?」
塁は微笑みながら、二つの駒を見つめた。
「俺たちは、次の時代へ行く。戦国時代だ。そこでまた、新たな運命が俺たちを待っている」
塁は猛虎の駒と飛龍の駒を握りしめ、目を閉じた。その瞬間、周囲の風景が歪み始め、二人は時間の流れを超えて飛び去っていった。
次に二人が目を開けた時、そこは戦国時代の日本だった。武将たちが激しく戦う時代に足を踏み入れ、塁と梨花は新たな冒険の始まりを感じた。歴史の流れが再び彼らの前に大きく広がっていく。
これから彼らは、戦国の世を駆け抜け、さらなる困難と試練に立ち向かうのだろう。しかし、二人は共に歩む覚悟を決めていた。
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